大自然と黒煙――イマイ的世界の旅、インドネシア・バリ編 その2:+D Style モテるクルマの選び方(2/2 ページ)
前回に引き続き、バリの交通事情をお伝えします今回の“モテ車”。旧式ディーゼルと大量の2ストバイクが走るバリの街、深呼吸はちょっとツライ?
現在開発されているディーゼルは、触媒やフィルターの進化もあって、特に欧州ではハイブリッドに対峙する低公害車として社会権を得るに至っていますが、黒煙を上げて走る旧型ディーゼルの排出ガスには、ススなどの粒子状物質が多く含まれ、健康被害も深刻です。
先進国などでお払い箱になった古いトラックは、輸出され、こんな風に発展途上国で廃車になるまで使われるケースが多々あります。
さらに街を埋め尽くす勢いで走っているバイクたちにも原因はありました。なぜなら、街ゆくバイクのほとんどが、2ストロークエンジンのバイクだからです。
2ストロークエンジンは小型で構造が簡単なために普及したエンジンですが、燃費が悪く、排気ガスが汚いなどの理由により、現在は世界的に4ストロークエンジンへの切り替えが進んでいます。日本の二輪車はすでに、競技用車両以外の2ストロークエンジンはほとんど4ストロークに切り替えられました。ちなみに今では競技用車両でさえも、徐々に4ストロークにシフトする流れにあるようです。
ところが、このバリではどうでしょう。
先に述べたように、2ストロークエンジンは排出ガスがとても汚いのです。構造上、2ストロークエンジンは燃料とともに潤滑油が燃焼するので、ディーゼルエンジンと同じようにススなどの粒子状物質が排出されます。また、炭化水素の排出値も高く、どちらもシックハウス症候群や急性の神経症状などの深刻な健康被害をもたらします。
先進国では排除されつつある2ストロークエンジンは、このように発展途上国ではまだまだ新車で流通している現状にあるのです。
一歩街の外に出れば豊かな原生林とライステラスが広がる神秘の島、バリ。景色が美しければ美しいだけ、人々が優しければ優しいだけ、前時代的なモビリティがもたらす影響を心配してしまうのです。
真摯な気持ちで祈るように思います。その豊かな原生林を、海を、楽園を守りたい、守ってほしいと。時間がかかるかもしれない、だけど一刻も早く環境負荷の少ないエンジンの普及・輸出を願わずにいられません。いつか世界中の空気が思いきり深呼吸できるように、なりますように、と。
筆者プロフィール
今井優杏(イマイ ユウキ)
2006年にレースクイーンを引退し、レースを通じて知ったクルマの素晴らしさを伝えたい! とモータージャーナリストに転身。また、MCとしても、モータースポーツ関連イベントを中心に幅広く活動中。
愛車はFIAT・バルケッタ(赤)。ラテンのクルマを愛する情熱系。
クルマは所有も運転もJOIA(喜び)。もっと楽しみましょう!!
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