2020年には、電気自動車の比率を20%に――三菱自動車、「i-MiEV」を市場投入
三菱自の電気自動車「i-MiEV」が、7月からついに市販される。40年来電気自動車を研究・開発してきた同社。「クルマ社会の、次の100年の扉を開くパイオニアになる」と、寄せる期待は大きい。
三菱自動車は6月5日、「i-MiEV」の市場投入を発表した※。7月下旬から法人ユーザーや自治体などを中心に販売を始め、2010年4月からは個人向けに本格販売を開始する。2009年度の販売台数は1400台、2010年度は5000台を見込む。価格は459万9000円※※。
i-MiEVは、同社の軽自動車「i」をベースに、永久磁石式同期型モーターとリチウムイオン電池(参照記事)を搭載した電気自動車だ。電気だけで走るので、走行時にCO2など排ガスを出さない。「三菱自動車では、これまで40年かけて電気自動車を開発してきた。i-MiEVはその集大成。i-MiEVはクルマ社会の次の100年の扉を開くパイオニアになる」(益子修社長)
独自のパワーメーター。アクセルを踏み込むほど針は右に動き、電力消費が増えていることを知らせる。「ECOゾーン」を保持して走行すれば、消費電力を押さえて走行距離が伸びる。アクセルを離せば針は左へ動き、「Chargeゾーン」に入ると回生エネルギーを使って充電が進んでいることが分かる
家庭用200V電源なら7時間で充電可能
i-MiEVの主な特徴は3つある。1つは、走行中はCO2を排出しないこと。三菱自動車では、発電時のCO2を含めても、iの約3分の1のCO2排出量と試算している。
2つめは、100%電気で走ることだ。充電方法は3通り。AC200Vの一般電源では満充電まで約7時間、AC100Vの一般電源だと約14時間かかる。今後、ショッピングセンターやコインパークなどに設置が進むと見られる急速充電器を使った急速充電の場合、約30分で80%の充電が行える。1回の満充電で走行できる距離は、10・15モードで160キロメートル。「街乗り用として日常的に走る分には十分な走行距離」(同社)
3つめは、走行時も非常に静かであること。電気自動車はエンジンを搭載しないため、走行時も非常に静粛性が高い。また、低速から高いトルクを発生する電気モーターの特性を生かし、電気自動車ならではの独特な加速をする(参照記事)。「最大トルクに注目してください。iのターボエンジン車よりもレスポンスが良く、力強く走れます」(同社担当者)
三菱自動車では2020年までに、総生産台数の20%以上を電気自動車やハイブリッド車にすることを目指す。今後は、i-MiEV以外にも街乗り用の電気自動車や、より長距離移動に適したプラグインハイブリッド車を開発・販売していく計画。なおi-MiEVの海外展開も予定しており、2009年は英国など右ハンドル市場を中心に約250台、2010年度以降は左ハンドル車を追加投入するという。
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