第9回 大口径ズームで撮る日本の最北端――タムロン「SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD」:デジタル一眼レンズの楽しみ(2/2 ページ)
タムロン「SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD」は、開放値F2.8を実現した標準ズームです。最近人気のフルサイズ一眼の常用レンズにぴったり。この明るいズームレンズを持って夏の北海道をめぐってきました。
廃虚ならではの静寂感を写し取る
続いて訪れたのは道北の西海岸沿いにある町、羽幌町です。かつて炭砿のまちとして栄えた場所で、現在は道内有数の廃虚スポットとして知られています。
町そのものは、自然との調和が取れた美しい景観で、ドラマ版「幸福の黄色いハンカチ」のロケ地にもなったそうです。町の中心部を離れると、いかにも北海道といった風ののどかな畑や果樹園、牧草地が延々と広がっています。さらに山道に入り、うっそうとした緑の中を進むと、そこに突如、コンクリートで固められた要塞のような巨大建築が姿を現します。これが羽幌炭鉱(炭砿)跡です。
この日は天候に恵まれ、時が止まったような廃虚ならではの静寂感と、おとぎの世界に迷い込んだようなトリップ感をじっくりと味わうことができました。富良野や美瑛といった有名観光地とは異なり、他の人と出会うことはほとんどありません。静かな風景写真を狙うには絶好のロケーションです。運がよければキツネやリスを見かけることができ、運が悪ければクマに遭遇します。
行き方は、まず羽幌町役場のそばにある郷土資料館で羽幌炭砿探訪マップをもらい、その地図に沿ってバイクまたは車でまわるのがお勧め。一周約55キロの範囲内に、巨大オブジェと化した貯炭場や炭砿アパート、小学校、橋梁などの遺構群が点在しています。
また羽幌町は、自称、日本一の夕日が見られる場所でもあります。以下の写真は、オロロン街道(国道232号線)から見た夕景です。使用レンズはもちろんタムロン。絞りを絞り込み、太陽の周りに光芒を描いてみました。
翌日はオロロン街道をさらに南下し、増毛町に到着しました。目的地は、日本最北の蔵元、國稀酒造です。ここでは「國稀」や「鬼ころし」など酒徒垂涎(すいぜん)の銘酒を試飲できるほか、限定酒の購入や酒蔵の見学も楽しめます。当然ながらドライバーである私は試飲はできません。その代わり、大口径ズームで大吟醸を撮影。ボケ味のよさを確認し、今回の旅を締めくくりました。
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