画質はPro1と同じ? FUJIFILM X-E1の気になるところに直撃:photokina 2012
富士フイルムからレンズ交換式「FUJIFILM X」第2弾として登場する、「FUJIFILM X-E1」は「X-Pro1 画質」をうたうが、本当のところはどうなのだろうか? 気になるところを担当者に尋ねた。
photokinaと合わせて日本国内でも正式発表された、富士フイルムのレンズ交換式「FUJIFILM X」シリーズ第2弾「FUJIFILM X-E1」。このカメラは春に投入された「FUJIFILM X-Pro1」と同様にローパスフィルターレスの有効1600万画素 APS-Cサイズ「X-Trans CMOSセンサー」を搭載、組み合わせる画像処理エンジンも同様の「EXRプロセッサーPro」で、同社では「X-Pro1画質を受け継ぐ」とその画質を表現している。
確かにスペックシートを見る限りでは同様だが、セッティングも含め、本当に「同じ」なのだろうか。同社電子映像事業部 商品部 担当課長の上野隆氏にphotokina会場で直撃した。
――まず気になるのが、春に登場したX-Pro1との画質面での違いです。同じ部材で構成されているようですが、価格面での差もあります(同社直販サイトでのボディ販売価格はX-E1が8万9800円、X-Pro1が15万円)ので、気になるところです。
上野氏: 画質についてですが、撮像素子や画像処理エンジンなどの部材が同一と言うこともあり、違いはまったくありません。もちろん、X-E1のほうが後発の製品ですのでAF速度など細部のブラッシュアップは進められていますが、新ファームウェアを適用したX-Pro1ならばこちらも同様となります。
X-E1とX-Pro1の違いはごらん頂いて分かるよう、EVFの搭載/非搭載です。これはそれぞれのキャラクターの違いに起因したもので、外部マイク装着可能がなど、X-E1はより万能機としての意味合いが濃くなっています。
一方でX-Pro1は光学ファインダーに重きを置き、プロユース、もしくはそれに近い使われ方を想定しています。どんなにEVFの性能が上がり反応が良くなったとしても、それは処理回路を経由した映像です。対してOVFは直接、目で見るのと同じですから、代替できないものだと考えています。
繰り返しになってしまいますが、画質についてはまったく一緒です。X-Pro1投入後にご意見として頂いたAF速度などは新ファームウェアで改善できたと考えていますから、「X-E1かX-Pro1か」の選択については、「何をどう撮るか」を基準として頂ければと思っています。
――X-E1にはキットレンズとして、Xマウント初のズームレンズ「XF 18-55mm F2.8-4 R LM OIS」が付属します。X-Pro1では画質面での追求から単焦点レンズを複数用意するというスタートでしたが、新たに用意されるズームレンズの画質は既存単焦点レンズに比肩するものなのでしょうか。
上野氏: Xマウントの単焦点レンズはそれこそ画質命と言いますか、レンズとしてどれだけ性能を引き出せるかに挑んだ製品群です。なかでも「XF35mm F1.4 R」はデジタルの補正を不要とするほどのクオリティを実現しています。
今回投入するズームレンズも、いわゆるキットレンズというクオリティではないと自負しています。絶対的なクオリティという意味では単焦点を選んでもらうほうがいいかもしれませんが、解像力という観点では、単焦点に勝るとも劣らないモノができたと思います。
構造面から言えば、画質の観点から両面非球面レンズ3枚を含む10群14枚構成として、フォーカスレンズも1枚ではなく2枚としています。ズームや手ブレ補正などさまざまな要素が盛り込まれていますが、画質とのトレードオフになりそうな部分があれば、できる限り画質を優先とする設計となっています。基本的には「ズームなんだけど、画質優先、その上でAF速度、手ブレ補正の効果増」という考え方ですね。
――レンズロードマップも公開していますが、プロでも愛用者が多い、いわゆる24-70mm/F2.8のような大口径ズームレンズがロードマップにないのはなぜでしょう。
上野氏: 一言で言えば優先順位です。24-70mm/F2.8のようなレンズではどうしてもレンズのサイズが大きくなりますし、実現に向けて動き出すかは検討中です。ですが、F4通しのズームレンズもありますし、カメラ自体も高感度(暗所撮影)に強くなっていますから、これは個人的な見解ですが、小型化という要素を加味するならば、F2.8にこだわることもないかという気持ちがあります。
――X-Pro1の投入時には、「ミラーレス」という側面よりも「プレミアムなカメラだ」というメッセージを強く出していました。X-E1についてはどうでしょう。
上野氏: 確かに、X-Pro1を1月のInternational CESで披露した際、「ミラーレスと呼ばないで欲しい」というメッセージを打ち出しました。システムとしてはミラーレスですが、「プレミアムなレンジファインダー的スタイルのカメラ」であるという言い方です。フランジバックの短いシステムならば、サイズの小型化を図れますから、「カメラシステムの大きさは、クオリティとイコールではない」という訴求をしていきます。そのためにも、画質については絶対に譲ってはいけないと考えています。
――X-Pro1はその画質を高く評価されていますが、ストイックな上級者向け製品という印象もあります。そこでレンズ交換式の第2弾として、「万能機」としてのニュアンスを持つX-E1を投入していくわけですが、これからの「レンズ交換式X」はX-E1が主力機となるのでしょうか。
上野氏: 基本的には、今回発表したX-E1をベースに展開していく事になると思います。いわゆるミラーレスカメラのなかでは高価な部類に入りますが、主力機として打ち出せる自信がありますし、これからより廉価なモデルを企画するというのもあり得ると思います。ですが、守っていくのは「FUJIFILM X」としての存在感、一見クラシカルだけど新しい、そんなイメージは守っていきたいと考えています。
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