photokina2012を読み解く3つのキーワード:photokina 2012(4/4 ページ)
世界最大の写真関連見本市「photokina 2012」が閉幕した。数多くの新製品が登場し、各社ブースは盛り上がりを見せたが、展示会全体を見渡すと浮かび上がるキーワードがある。それが「フルサイズ」「スマホ」「ネットワーク」だ。
「ネットワーク対応」で何を提供するか
「COOLPIX S800c」と「GALAXY Camera」、この2機種は単体でスマートフォンに対抗しようというカメラだが、通常のデジカメでも、無線LANによる通信を搭載することで、ネットワーク機能が利用できる製品が増えている。
もちろん「EOS 6D」や「D600」「DMC-GH3」のようなカメラについては、コミュニケーション目的よりも作業/業務フロー改善のためにネットワーク機能を搭載するという側面を強く持つが、カメラのネットワーク対応という傾向は今後も強まるだろう。ただ低価格化したとは言え無線LANチップの搭載にはコストがかかる。一気に無線LAN対応を進めたサムスンのように、すべてのカメラが無線LAN対応するには時間がかかりそうだ。
無線LAN対応の新機種としてはキヤノン「EOS 6D」や「PowerShot S110」、パナソニック「DMC-GH3」、ソニー「NEX-6」などといった新製品が登場したが、その中で「NEX-6」は、IFA 2012にて先行発表されている「NEX-5R」とともに、PlayMemories Camera Appに対応し、アプリダウンロードによる機能拡張にも対応している。
カメラのOSは従来通りだが、アプリによる機能向上を図れるという点は面白いく、アイデア次第ではうまく軌道に乗る可能性もある。単に無線LAN対応しただけでなく、それをユーザーに訴求し、製品の魅力につなげられるか、各社とも腐心しているようだ。
スマートフォンのカメラも、iPhone 4SやXperia、HTC Oneといった画質を重視したものが出てきている。まだ発売されていないWindows Phone 8を搭載したNokia「Lumia 920」も会場のCarl Zeissブースに置かれており、光学式手ブレ補正や暗所撮影機能などをアピールしていた。GALAXY Cameraもスマートフォンチームと同社のデジカメチームが共同で開発をしているようで、ソニーも、Xperiaの画質を向上させるため、デジカメチームがバックアップすることを強調している。
以前から携帯電話にデジカメブランドを冠した例はあったが、実際のところ、デジカメ部門との連携はあまりなかった。特にソニーやパナソニックのようにグループ内にデジカメと携帯を持っているのに、別会社化によって連携が絶たれていた状況は、どちらの製品でも進化を遅らせていたと思う。ソニーは平井一夫社長のもと、社内間の連携を重視する姿勢を打ち出しており、IFAでもphotokinaでも、そうした連携の成果が今後出てくることが示唆されていた。
カメラとスマートフォンは、違うようでいて相互に補完し合う関係にあり、相性がいい製品といえる。。次のphotokinaは2014年の9月。2年後を予想するのは難しいが、「photokina mobile」はさらに拡大しているのではないかと思われた。
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