第17回 LEDライトを使ってライティングを楽しんでみる:荻窪圭のiPhoneカメラ講座
マンフロットのiPhoneケース「KLYP(クリップ)」には、LEDライトの付属するパッケージがある。せっかくなので、LEDライトを使ってiPhoneでの撮影でもライティングに一工夫してみよう。
先週、マンフロットの「KLYP for iPhone」というiPhone用カメラケースにLEDライトをつけられますよ、というところで話が終わってた。
今回はその続き。KLYPをお持ちじゃない人も、LEDライトは各社から出てるし、iPhoneにライトを装着しなくても、ライトを別のところにおいたり手に持ったり(ブレやすくなるけど)おでこにはっつけたりでいろいろと楽しんでもらえればと思う。バッグにLEDライトひとつ入れておけば撮影の補助に使ったり、いざというとき懐中電灯として使ってりできるし。
で、実際にKLYPにLEDライトを装着したらどう撮れるかを試してみた。どのくらい実用的かどのくらい面白い写真を撮れるか。内蔵LEDライトよりずっと明るいのは見れば分かるけど、どのくらい使えるのか気になるところ。まあだいたい市販の撮影用LEDライトでも同じような結果になるので、KLYPユーザー以外の方も参考にしてくださいまし。
部屋を暗くして、1メートルくらいの距離から撮ってみる。
被写体は段ボールの上でしれーっと休んでたうちの猫「かふか」。
写真を見ると、光が丸く当たってるのが分かる。iPhoneの画角に比べて照射範囲が狭いから。まあそういうもんだと思って楽しむべし。でも、もうちょっとバランスよく明るいといいよね。
そんなときはHDRの出番。
HDRをオンにしておくとこういうときにもがんばってくれるのであった。
もうちょっと一般的なシチュエーションで使ってみよう。その1は逆光。窓をバックにすると背景の明るさに引っ張られて顔が暗く写る。じゃあ顔にライトを当てて補助光にしてやれば、顔が明るく写っていいんじゃないか。
続いてLEDライトで顔を照らしてみた。
LEDライトが顔を明るくしてくれたので逆光でもそれなりになった。分かりやすさを狙ったので証明写真みたいなアレになっちゃったけどご勘弁を。
お次にライトが欲しくなるのはやはり室内(屋内)。ちょっと暗めの室内。室内だと顔が暗く写りがちで、もうちょっと明るく撮れたらいいのに、ってことはよくある。例えばこんな感じ。特になんてことない普通の写真であります。背景の方がちょっと明るいので顔がやや影になってる。
次にLEDライトを光らせて撮る。クワッと光らせる。
これだけ明るく撮れるのなら使えそうではないか。
ただ、背景がちょっと暗くなってしまった。背景の室内の明るさとLEDライトが当たった顔を比べた場合、顔の方が明るいので、相対的に背景が暗く写ったのだ。
ってことは、LEDライトの明るさと背景の明るさのバランスが合えばいい感じになるんじゃなかろうか。というわけで、LEDライトの調光機能の出番である。
つまみを回して明るさを調整してちょっと暗くしてやる。
徐々に暗くしながら背景と顔の明るさが自然になるようにするのだ。それがこちら。
さっきのに比べて顔が明るすぎず、ナチュラルになった上に、目の中にキランとLEDのライトが反射していい感じ(キャッチライトと呼びます)。
細かいことをいえば、LEDライトの色温度(まあ光の色だと思ってください)と室内照明の色温度(ちょっと赤い)の差が出てるけど、そこまで細かい事いうなら本職デジカメにもうちょっと高価な機材を使って撮りましょう、ってことで。
iPhoneでもちょっとしたライティングでこれだけ調整できるのだ、ってのが今回のポイントなのだ。
ひとつ気をつけるべきは、手ブレ。
実は上の写真もよく見ると手ブレしてる(すみません)。
カメラのストロボは一瞬だけすごく明るく光る。だからその一瞬でブレをほぼ止められるし、明るい分シャッタースピードも速くなるけど、LEDライトはそこまで明るくないから。まあ普段手ブレに気をつけて撮ろう、というのと同じだと思ってくれればよい。ライトで照らしてるから適当に撮ってもOKってことには……ならないことが多い。
巨大なLEDライト(今回使ったのは白色LEDを24個並べたライトだけど、バッテリ駆動式のLEDライトにも84個とか96個とかもっとぐわっと並んでる強力なヤツもある)を使えばそれなりに明るくなります。本格的に撮るのなら、数10個並んだLEDライトを3つくらい用意するとかもアリ。
ここでは写真の話がメインだけど、iPhoneで本格的に動画を録るぞ、となったら、強力なライトを並べたいしね。
今週の小技:ライトを当てる方向でいろんな雰囲気を楽しもう
最後はちょっと応用編。
LEDライトとストロボを比べると、そのメリットとして常に光っている「定常光」であることが挙げられる。ストロボは一瞬だけ明るく光るので、よほど撮り慣れてる人以外は「どこがどのくらい明るく写るかはカメラさんよろしく」になっちゃう。
定常光なら当たり具合を確認しながら撮れるので、ライティングで遊びやすいのだ。それを利用してLEDライトをカメラから離してみたり横から照らしてみたり後ろから照らしてみたり、複数のLEDライトを組み合わせてみたりといろいろと遊んでみるべし。
例えばライトをレンズと対角線に当たる位置に装着、つまりわざと少し離れた位置にライトをつけて、陰影を楽しんでみた。
光が左上から当たってるので、猫の影が少し右に出て、なおかつ壁に丸い影ができてる。わざと影を強く出してみたわけだ。コントラストが強くてきりっとした感じがいい。「お、あっちで何かあったようだ」って顔にぴったりあってる。
LEDライトをもうちょっと離してみよう。
お次は暗い部屋で右下から当ててみた写真。
暗い部屋にLEDライトだけを照らして撮ったので、暗闇にほわんと浮かび上がる感がお気に入り。
iPhoneでも数千円のLEDライトひとつでこれだけ遊べるしコンパクトで軽くてどこにでもセットできるので、一工夫した写真で遊びたい人はぜひ。
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