紀伊國屋書店が村上春樹氏の新刊について初版10万部のうち9万部を買い切り、全国のリアル書店や取次会社に流通する方針を示し、大きな話題となっています。
紀伊國屋書店はネット書店への対抗策として、スイッチ・パブリッシングが9月10日に発売する村上春樹氏の新刊『職業としての小説家』(本体1800円)について、初版10万部のうち9万部を買い切り、全国のリアル書店や取次会社に流通する。4月に大日本印刷と設立した出版流通イノベーションが検討している「買切・直仕入ビジネス」の一環として取り組む。卸先は紀伊國屋書店またはスイッチ・パブリッシングに注文した書店のほか、日販、トーハン、大阪屋。その他の取次会社には仲間卸しで供給される模様。取引条件は非公開。紀伊國屋書店と取次会社間では多少の返品枠があるというが、全流通段階で買切りとなる。初版10万部のうち、ネット書店には5000部流通される。
8月21日、会見に当たった藤本仁史取締役は、「書店への満数出荷と書店マージン率の向上を目指していく。これはテストではなく、リスクを負った事業」と話した。
4月から4カ月間の売上高は、「書籍」が前年比15%増、「雑誌」が同10%減、計同3%増。8月20日に行われた第27回「大阪屋友の会納涼会」で、大阪屋の大竹深夫社長が報告した。
書店店頭は既存店ベースで、4・5月が同3〜4%減、6月が同1%減、7月が同0.6%増、8月が15日まで同0.8%増。大ヒット中の『火花』のほか、地域活性化施策であるプレミアム商品券が店頭を潤した。
大阪屋友の会連合会の田村定良会長(田村書店)も「少し明るさが見えた状況で納涼会を開催できるのは数年ぶり」と喜びの表情を見せた。
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