プラネックスがAirgoと提携、ワイヤレス100Mbpsオーバー製品を8月中旬より発売

プラネックスは米Airgo Networks社との提携を発表し、108Mbpsの伝送速度を実現する、802.11nとして標準化作業が進められている技術を採用したワイヤレスLANアクセスポイント及びPCカードアダプタを発売すると発表した。

» 2004年06月22日 18時22分 公開
[大出裕之,ITmedia]

法人向け新ブランドの第一弾として

 プラネックスは、米Airgo Networks社のAirgo True MIMO(Multi Input Multi Output)技術を採用したワイヤレスLANアクセスポイント及びPCカードアダプタを、同社法人向け新ブランド「Carrier Quality Series(CQS)」の第一弾として8月中旬に発売すると発表した。アクセスポイント「CQW-AP108AG」は税込み参考価格12万8000円。PCカードアダプタ「CQW-NS108AG」は税込み参考価格1万9800円。

Airgoの統合チップセットを2セット搭載

 特徴は、なんと言っても送受信に複数のアンテナを使用するAirgoのMIMO技術を採用した点。同社のMIMO OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex:直交周波数分割多重)統合チップセットは802.11a/b/gと上位互換性を持ち、1チャネル20MHzで最大108Mbpsの転送速度を実現する。また電波到達範囲が802.11a/b/gよりも広いため、より少ないアクセスポイントで大規模なワイヤレスネットワークを構築することができる。

 ワイヤレスアクセスポイント「CQW-AP108AG」は、搭載したMIMO OFDM統合チップセットは2.4GHzと5GHzのどちらにも対応しており、別々のGHz帯を使用することも、両方でどちらかの帯域を使用することもできる。1台をポータルアクセスポイントとして設定すると、それ以降に追加したアクセスポイントを自動認識して設定を自動で行う機能も搭載した。

 またRADIUS認証サーバ及びMicro CA(Certificate Authority:認証局)を本体に内蔵。管理者レベルとしてSNMPv3、HTTPSなどをサポートし、ユーザーレベルとしてはWEP(64bit、128bit)、WPA(AES、TKIP)をサポートしている。

 そして端末を論理的にグループ化できるVLAN機能(最大16グループ)や、そのVLANごとにSSID(Service Set ID)を設定できるマルチSSID機能を搭載しており、公衆ワイヤレスLAN構築にも最適だとしている。そのほかIEEE 802.3af準拠のPoE(Power over Ethernet)受電機能を搭載した。

Airgo、4社とパートナー契約を締結

 Airgoにとっては、プラネックスなどとのパートナー契約により、ようやくAirgo True MIMO搭載製品が世に出てくることになる。今回パートナー契約を結んだのは、プラネックス(市販製品の製造・販売)、SOHOware(米国の直接販売会社)、Askey(モジュール等の製造)、太陽誘電(モジュール等の製造)の4社。

 発表会に出席したAirgo Networksの戦略開発部門担当上席ディレクター・Beau Beck氏は「日本は、法的に1回の通信に使う帯域幅は18MHz以下という規定があり、複数のチャンネルと広い帯域をあわせて転送速度を向上させる技術は使用できない。その点、Airgo True MIMOであれば1つのチャンネルだけで108Mbpsを実現できる。また昨今のブロードバンドの普及で、米国よりも日本のほうが高速ワイヤレスLANのニーズが高い」と語り、最初の市販OEMとして日本のメーカーと契約を締結した背景を語った。

AirgoのBeau Beck氏

 プラネックスの久保田社長は「現在日本では、SNMPv3に対応したワイヤレスLAN構築ソリューションが求められている。設置するアクセスポイント数を減らせ、既存のワイヤレスネットワークとの共存も可能なAirgo True MIMO搭載製品を発表できてうれしい。ワイヤレスIPフォンの市場にも拡販していきたい」と語り、まずはエンタープライズ市場を中心に投入するとのことだった。

 コンシューマー市場については「MIMOによる高速な転送速度以外の付加機能を外していけば、今回製品の半額程度にはできる。市場のニーズを見ながら対応していきたい」と述べ、コンシューマー市場においても検討をしているとのことだった。

AirgoのMIMO OFDM統合チップセット。2つの送受信用チップと1つの受信用チップとで構成されており、3本のアンテナを使用する
2セットある3本のアンテナはそれぞれの送受信チップに対応

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