Javaオープンソース化めぐり、JavaOneでディスカッション

来週のJavaOneで行われるJavaオープン化をめぐるパネルディスカッションには、Java作者のジェームズ・ゴスリング氏や、論争の発端となったIBM幹部、ローレンス・レッシグ教授などが参加する。(IDG)

» 2004年06月23日 12時54分 公開
[IDG Japan]
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 来週開催のJavaOneの最終日に、激論を戦わせるお膳立てが整った。Sun Microsystemsはこのカンファレンスで、同社のJava技術をオープンソースライセンスの下でリリースすべきかどうかという厄介な問題を論じるパネリストを招集した。

 JavaOneのWebサイトによると、「The Big Question ...」と題されたパネルディスカッションは7月1日に行われる予定で、Sunの技術者でありJava作者のジェームズ・ゴスリング氏、スタンフォード大学の法学教授ローレンス・レッシグ氏、IT出版社の社長ティム・オライリー氏などの参加が目玉となる。

 最初の参加者リストには、Javaオープン化論争の口火を切ったIBMの代表が含まれていなかった。この論争は、IBMのエマージングテクノロジー担当副社長ロッド・スミス氏が2月に、公開書簡の中でSunにJavaのオープンソース化を促し、その支援を申し出たことに端を発している。

 IBMの広報担当者は6月22日、結局IBMの許可が下り、スミス氏がパネリストに加わることを明らかにした。そのほか、スミス氏の書簡のあて先となったSunの副社長ロブ・ジンゲル氏、Red Monkの主席アナリスト、ジェームズ・ガバーナー氏、メジャーリーグのWebサイトを運営するMLB Advanced Mediaの代表者が参加する。

 「多数の個人や組織が、Java技術は新しいコミュニティーと開発モデルを採用するべきだと提案している。このパネルディスカッションでは、技術者のオープン性への要望と、市場の互換性への要求のトレードオフなど、絡み合った技術的・法的問題に切り込む」とJavaOneサイトには記されている。

 22日の時点でSunからのコメントは得られていない。

 一部のオープンソース支持者は、Javaコードの公開を求めるIBMの声に同調している。賛成派はたいてい、オープンソース化によってさらなる革新が可能になり、開発者の柔軟性が高まるため、Javaが強化されるという論拠に立っている。

 Sunは、オープンソース化には前向きだが、決断の前にもっとよく調べたいと話している。「この問題をめぐる議論は今でも急速に、激しく展開している」とゴスリング氏は今月初めのメール取材で話していた。

 Sunのジョナサン・シュワルツ社長は、Javaをオープンソース化したら、互換性のない複数のバージョンに分岐してしまい、Javaの「一度書けば、どこでも走る」特性が損なわれる恐れがあるとの懸念を表明している。しかし同社は最近、主力OS「Solaris」をオープンソースライセンスの下でリリースする計画を明らかにしている(6月3日の記事参照)。

 BEA SystemsやOracleなどほかのJavaベンダーは、最近はこの問題に関して沈黙を通しており、また一部には困惑や無関心を示す開発者もいる。

 「Javaがオープンソースでもそうでなくても気にならないと思う。私が気にしているのは、実装を世間にリリースする前に、共通仕様を満たしているという認定を受けなければならないことだ」とある開発者は掲示板に投稿している。

 それでも、SunとIBMが公に対立していることを考えると、パネルディスカッションは注目を集めるだろう。

 「これはJavaに関わる最も重要な問題の1つだ。私としては、SunはJavaOneでこれを前面に、中心に押し出してくると思う」とRed Monkのガバーナー氏。同氏は来週のパネルディスカッション前に自身の意見を明かすことを控えている。

 Sunの情報筋によると、同社はJavaOneに間に合うようにJavaオープンソース化に関する決定を下したい考えだという。ガバーナー氏は、それもあり得るが、可能性は低いとしている。「同社はJavaOneで何かを発表する態勢にないと思う」

 決定はほかのJavaベンダーとともに、開発者の意見を聞いて行う必要があり、多くの細部が固まっていないと同氏は指摘する。

 「オープンソースに関して言えば、世話役やライセンス、知的財産保護といった詳細が問題だ。悪魔はすべて細部に宿るのだ」(同氏)

 JavaOneは6月28日から7月1日にかけて、サンフランシスコで開催される。

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