企業のモバイル化をリード、SQL Anywhere Studio 9Interview

SQL Anywhere Studio 9について、米iAnywhere Solutionsのブライアン・ピンク氏とマイク・パオラ氏に話を聞いた

» 2004年07月05日 21時20分 公開
[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 「いつでも、どこでもネットワークにつながった社会の到来」というフレーズを、ここ最近はまさにいつでもどこでも目にするが、その多くがデジタル家電などの話になり、エンタープライズ向けのソリューションという観点から論じられることは意外に少ない。

 企業がビジネスでモバイル環境を使いこなすには、セキュリティの問題が障害になったり、企業向けアプリケーションを利用するためのネットワーク環境がまだまだ弱いなど、幾つかの課題もここに関わっている。

 そうした中、米国のモバイルデータベースでトップシェアを持つのがiAnywhere Solutionsだ。同社は6月25日に、モバイルデータベース「SQL Anywhere Studio 9」をリリース。企業の主要データにいつでもどこでもアクセスできるモバイルエンタープライズソリューションとして、同社が強く位置づける製品となっている。

ブライアン・ピンク氏(左)と、マイク・パオラ氏

 SQL Anywhere Studio 9について、来日した米iAnywhere Solutionsのマーケティング担当バイプレジデント、ブライアン・ピンク氏と、シニアグループ・プロダクトマネジャーのマイク・パオラ氏に話を聞いた。

ITmedia SQL Anywhereは実際の場面ではどのように利用されるでしょうか?

ピンク 仕事の現場をモバイル環境に変えることで、営業の紙ベースのプロセスを電子化したり、非効率な手順を自動化する効果があります。例えば、ユーザーの1つである英ブリタニア航空では、フライトアテンダントがPDAを持っています。

 そして、ベジタリアン、糖尿病患者など留意するべき特徴を乗客ごとに入力し、管理します。各PDAにはそれぞれデータベースが搭載されており、通常はオフラインでそれを使います。地上でネットワークにつなぎ、顧客情報をアップデート、次回のマーケティングや接客に生かすわけです。

ITmedia SQL Anywhere Studioの特徴を教えてください。

ピンク SQL Anywhere Studioのコンポーネントは、データ管理を行う「Adaptive Server Anywhere」(ASA)と「Ultra Light」、データ交換を行う「Mobile Link」の3つです。

 ASAは、自己管理機能を持つリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)です。初期設定のままでもパフォーマンスが良く、さまざまなプラットフォームでフル機能のSQLを実行できます。Ultra Lightは、PalmやPocket PC、Java端末など小型機器向けのデータベース。Mobile Linkは、RDB間で情報を共有し、システム全体のデータの整合性を確保するための同期の技術です。Mobile Linkは、システム全体でデータの整合性を保つために、RDB間で情報を同期させる技術となっています。

ITmedia バージョン9.0の強化点は?

ピンク プラットフォームやサポート環境が拡張され、XMLやWebサービス、.NET Frameworkなどにも対応しています。また、Mac OS X and 64-bit platoformsも新たにサポートしました。また、ASAでは、クエリ実行エンジンの改良やクエリオプティマイザの強化により、パフォーマンスが改善しました。

ITmedia SQL Anywhere Studioのターゲット市場は?

ピンク 主なターゲットは、企業がデータやアプリケーションにいつでも、どこからでもアクセスできる環境を提供するモバイルエンタープライズ市場です。

 また、他社の端末などに組み込むアプリケーションとしての提供、SMB(中小規模)ビジネス、データベースの機能をWebベースのアプリケーションに統合する提供方法も視野に入れています。

ITmedia ブリタニア航空の事例についてもう少し教えてください。

ピンク ブリタニア航空では、Wi-Fiネットワークで、PDAやノートPCを使用する航空会社の従業員2300人がモバイルインフォメーションシステムを活用しています。そこには、クルーの勤務表、乗客情報、航空管制情報、安全情報、目的地の更新情報の詳細、免税品の販売情報まで、さまざまなデータが格納されており、ユーザーは仕事の現場でもそれを参照することができます。

 これにより、顧客への対応が早くなるなどのメリットのほか、紙ベースのプロセスを自動化できたため、年間で50万ポンドのコスト削減を実現したと聞いています。

ITmedia 買収で機能を増やしています。

ピンク 先日は、自然言語解析技術を持つDejimaを買収しました。米Orangeは、イエローページの検索機能にDejimaの技術を使っています。



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