特集:第2回 スタートアップ.NET――開発ソフトの現状と目的別使い方(前編)dev .NET(2/3 ページ)

» 2004年07月09日 13時55分 公開
[大澤文孝,ITmedia]

開発統合環境「Visual Studio .NET」

 .NET Frameworkアプリケーションの開発をする際、多くの開発者が利用するのが、マイクロソフトのVisual Studio .NETだ。

 Visual Studio .NETは、.NETを直接扱うマイクロソフト製品ということもあり、最新の.NET Frameworkへの対応が早い。また、入手できるドキュメントやサンプルプログラムなどが、Visual Studio .NETを前提としていることも多く、資料が豊富にあるのも人気の理由のひとつだ。現状では、Visual Studio .NETが.NET Frameworkアプリケーション開発におけるデファクトスタンダードといえる。

Visual Studio .NETに含まれる対応言語

 Visual Studio .NETは、次の開発言語に対応する。

  • VB.NET
  • Visual C#
  • Visual J#
  • Visual C++

 またVisual Studio .NETでは、.NET Frameworkアプリケーション対応のインストールプログラムを作ることもできる。

.NET Framework対応のBasic環境、VB.NET

 VB.NETは、Visual Basic 6.0の後継ではあるものの、言語仕様が大きく異なる。そのため、文法が似ているというだけであり、似て非なるものであると思ったほうがよい。言語仕様が大きく変わった理由は、.NET Frameworkが、オブジェクト指向の実行環境であるためだ。

 そのためVB.NETでは、.NET Frameworkに対応すべく、言語仕様として、クラスやオブジェクトに関連した機能が多く盛り込まれた。詳細は省くが、.NET Frameworkアプリケーションは、クラスの固まりとして構成される。そのため、もはやクラスやオブジェクト指向を知らずしてアプリケーション構築は困難だ。


Visual Basic 6.0とVB.NETとでは、ソースコード互換性がまったくない。もし、Visual Basic 6.0のソースコードをVB.NETに移行したいのであれば、「ファイル」メニューの「開く」→「変換」から起動する「Visual Basic .NETアップグレードウィザード」を用いる。しかし、Visual Basic .NETアップグレードウィザードで自動的に移行することはできず、変換後に手作業での修正が必要になる。

 当然、Visual Basic 6.0とVB.NETでは、言語仕様だけでなく、利用するライブラリも異なる。

 従来のVisual Basic 6.0では、フォームにActiiveXコントロールを貼り付けてアプリケーションを構築していた。また、COMコンポーネントを使ってVisual Basic 6.0の機能を拡張していた。しかしVB.NETでは、.NET Frameworkのクラスライブラリを使う。つまり、フォームに貼り付けるのは、ActiveXコントロールではなく、.NET Frameworkのコントロール(クラスをGUI化した部品)となる。


.NET Frameworkでは、ActiveXやCOMを利用することもできる。Visual Studio .NETでは、ActiveXやCOMコンポーネントを参照設定することで、.NET Frameworkのプロジェクトから利用できるようになる。しかし.NET Frameworkから、ActiveXやCOMを利用するのは、効率が良くない。これは、CLRにより、マネージコードの実行(.NET Frameworkのコード)とアンマネージコード(ActiveXやCOM)との境となる部分で、呼び出しの中継処理が入るためである。

 VB.NETでフォームに貼り付けるコントロールは、VB.NETで提供されるものではなく、.NET Frameworkによって提供されるものだ。つまり開発言語の依存はなく、後述のC#、J#など、他の開発言語はもちろん、他の統合開発環境からでも同じようにGUIで開発できる(画面1)。

画面1■Visual Studio.NETによるWindowsアプリケーションの開発 画面1■Visual Studio.NETによるWindowsアプリケーションの開発

 .NET Frameworkでは、Windowsアプリケーションだけでなく、Webアプリケーションの場合にも、「Webフォーム」という形式で構成する。このWebフォームは、Windowsフォームと同じく、テキストボックスやボタンなどのコントロールを配置することで、Webページを作り上げていくものだ(画面2)。

画面2■Visual Studio .NETによるWebアプリケーションの構築 画面2■Visual Studio .NETによるWebアプリケーションの構築

 GUI開発でドラッグ&ドロップして配置するコントロールは、自作することも容易だ。自作する場合にも、開発言語に依存する部分はない。C#で書かれたコントロールをVB.NETで利用するか、その逆なども可能である。

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