日産自動車、グローバル調達の効率化にSAP採用

日産自動車がグローバルの調達業務効率化のためにSAPのSRMを導入した。

» 2004年07月12日 21時02分 公開
[ITmedia]

 SAPジャパンは先週、日産自動車がSAPの調達業務向けソフトウェア「mySAP サプライヤ・リレーションシップ・マネジメント」(mySAP SRM)を海外関係会社も含め、グローバルに導入し、本格稼動を開始したことを明らかにした。mySAP SRM導入にあたり、SAPが独自開発した入札エンジン「SAP SRM2.0直材ソーシング」が、部品調達領域において効果指標管理をサポート、業務効率の向上に貢献したとしている。

 SAP SRM2.0直材ソーシングシナリオは、mySAP SRMを構成するコンポーネントの1つ。SAPによると、完成車メーカーの中では世界初の採用という。日産自動車は、SRM2.0直材ソーシングを活用することで、部品調達領域における独自の効果指標管理を行い、購買業務を高付加価値業務へと発展させていく方針としている。

世界でコードを一元管理

 日産自動車は従来は分散していた調達システムを、mySAP SRMによってグローバルの調達システムに統合するために、コードの統一化を世界規模で図る「マスターコード」管理体制を実現したという。

 これは、世界の各拠点にまたがった各種のコードを、統一した調達システムで一元管理する仕組み。

 1999年に仏ルノーと包括提携を発表した日産自動車は、2000年4月から、経営再建を目指した3カ年計画「日産リバイバルプラン(以下、NRP)」を実施。企業努力によって当初の予定より1年早い2002年3月に目標を達成、新たな3ヵ年計画である「日産180(N180)」を始動させ、販売拡大や企業利益率向上を追求してきたという。

 こうした経営強化策の一環として、同社の情報システム部門は、4つの事業領域を設定し、組織化した。その一部であるGRM(グローバル・リソース・マネジメント)領域で、購買業務の見直しを図る「GTOP21」(Global Total Online Purchasing 21st Century)を立ち上げた。

 GTOP21は、同社事業のグローバル化に伴い、国内や海外拠点、子会社、取引先までをも包括的に巻き込んだグローバル調達体制の強化することにより、業務全体の効率化を図ることが狙い。

 具体的には、調達システムをグローバルで統合することによって、取引先の選定からモニタリング、価格設定まで、すべてのプロセスを透明化し、部分最適から世界最適の調達体制を目指すという。

 2002年3月に始動したGTOP21は、量産部品、アフターセールス部品、試作部品など同社製品のライフサイクルに関わる全ての部品が対象となる。日産自動車は、GTOP21に伴い導入されたmySAP SRMを、国内連結4社、海外3社、さらに、1000社以上にのぼる取引先で採用し、調達システムの可視化と効率化の向上を目指す。

 mySAP SRMは、まず2003年7月に日本で稼動を開始。2003年9月にはメキシコ現地法人、2004年1月には欧州日産自動車、3月には北米日産自動車でも稼動が始まった。

 

 同社は、mySAP SRM導入が、購買や調達に係る社員の工数削減と、指標管理による査定能力の向上、サプライヤ情報の一元管理という3つの効果をもたらすと期待しているという。同時に、サプライヤーの立場からも、競争の公平性、透明性を確保する上で有効としている。

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