日本に広めたい、イスラエルのハイテク技術

イスラエルのハイテク技術を日本に紹介する「イスラエルITビジネスフォーラム 2004」が開かれた。人口600万人の小国ながら通信機器やソフトウェア分野で、世界的な実績を上げているイスラエルのパワーを垣間見た。

» 2004年07月22日 00時26分 公開
[堀 哲也,ITmedia]

 イスラエルのハイテク技術を日本に紹介する「イスラエルITビジネスフォーラム 2004」が7月21日、開かれた。同国に拠点を持つハイテク企業11社が、日本でのビジネス拡大を目的に技術を紹介した。短時間のためハイライトしか語られなかったものの、人口600万人ちょっとの小国ながら通信機器やソフトウェア分野で、世界的な実績を上げているイスラエルのパワーを垣間見た。

 同フォーラムは、イスラエル大使館経済部/財団法人中東協力センター/日本貿易振興機構(ジェトロ)が主催で行われた。

Axerra Network

 テルアビブに本社を置くAxerra Networkは、複数のネットワークサービスをIPへ変換できる「MaltiService over Packet」(MSoP)技術を紹介した。

 ATMやフレームリレー(FR)などのレガシー技術をIPへ変換できる。そのため「サービスプロバイダーはどんなアクセスネットワークもIP化でき、サービスの柔軟化とコスト削減が行える」と同社の担当シモン・トン氏。

 携帯電話の基地局に導入することも可能なため、モバイルオペレータも注目しているという。

CipherActive社

 CipherActiveは、SSLアクセラレーション技術「Jet SSL」を売り込んだ。「ハードウェアベースのアクセラレーションに比べて、3〜8倍処理が早い」とナハム・ブランドマンCTOは胸を張る。

 Webの通信を暗号化するために用いられるSSLだが、処理が重たくWebサイトのパフォーマンスを落とす要因となりかねない。ブランドマンCTOによれば、サーバの処理の9割がSSLに費やされているという。

 「そのために、セキュリティレベルを下げるか、さらにサーバを追加するか、保護するサイトを限定するか、アクセラレータを追加するか、これらの選択肢を選んできた」。しかし、これらの選択は、どれもコストが高くつくか、顧客に良くない印象を与える結果となりがち。

 CipherActiveは、公開鍵による暗号化を加速させる技術をソフトウェアで高速処理化するアプローチを開発。ソフトウェアのため、ハードの変更の必要がなく、SSL導入を低コストで行えるメリットがあるという。

 例えばPentium 4 2.48GHzを用いた場合、2000〜8000RASディスクリプション/秒が可能だとしている。資料によると、同社のPKI加速化ライブラリは、Pentium/TI DSP/ARM/Intel X Scaleプロセッサで使用できる。

Datapod社

 2002年に設立された若いDatapodは、P2P技術を利用してデータを同期する技術を紹介した。

 Windowsのエクスプローラライクなインタフェースを持つソフトウェアには、常に自動で同期される共有スペースがあり、意識することなく最新のデータをPC間で共有できるのが特徴。通信は暗号化されており、タル・バーノックCEOは「Secure Privat Network」(SPN)と呼ぶ。

 「外で仕事をしていたり、在宅勤務者の生産性を向上できる。データの所在を意識せずに、異なるデバイスから最新のデータにアクセスできる」(バーノックCEO)。特に、1〜100人程規模のSOHOなど小規模企業をターゲットに販売していきたいとしている。

Finjan Software社

 イスラエルに研究開発センターを置くFinjan Softwareは、ビヘイビアブロッキング技術を紹介する。同社の「Vital Security」は、コンテンツの“ふるまい(ビヘイビア)”をもとに悪意のあるモバイルコードの侵入を阻止するという。

 「95%の企業がアンチウイルスで守られているが、これは破られる。シグネチャベースのウイルス対策はもう機能しない」とシロモ・トーボールCEO。Slammerワームのようにウイルスの拡散速度が速まると、ウイルス対策ソフトのシグネチャが間に合わないからだ。また、Vital Security はJavaやActive Xなどで悪意のあるコードのふるまいを監視する。

 20万ユーザー規模で米国政府などに利用されている実績も持つ。新たにSSL通信を解読して検査できるVital Securityも近日中に投入する計画だ。


 そのほか、電子メールセキュリティ技術を持つAliroo、無線LAN技術のExtricom、COBOLなどで書かれたレガシーアプリケーションをオープン技術にダウンサイジングするEZLegacy、GPON(ギガビットオプティカルネットワーク)技術を提供するsFlexlight Networks、テクニカルサポートセンターツールのGteko、無線遠隔監視製品のHi-G-Tek、光ネットワークモジュールのXtellusなどが、技術を紹介した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ