Xserve G5、PowerPC G5を搭載した1UサーバーUNIX USER2004年9月号より転載

Xserve G5は、Appleが提供する1Uサイズのサーバー製品で、この製品が3代目となる。最新のPowerPC G5/2GHzを搭載し、バス周りを整え、処理能力を向上させた。

» 2004年08月07日 09時00分 公開
[西尾泰三,UNIX USER]

魅力的なプロセッサまわりの構成

 Xserve G5の特徴としては、やはりPowerPC G5/2.0GHz(PowerPC 970FX)を搭載したことが挙げられよう(写真1)。フロントサイドバスは、プロセッサごとに備え、プロセッサの1/2のスピード、1GHzで動作する双方向64ビット幅のDDRタイプである(8GB/秒)。以前のPower Mac G4モデルが、167MHzのバスであったことを考えると、スペック上のパフォーマンスは大幅に向上している。Xeonシステムの最大バンド幅が6.4GB/秒であり、高いパフォーマンスを期待できるだろう。

写真1 写真1 中身。大きく「G5」と書かれているところの下にPowerPC G5がある。

 システムコントローラから各種デバイスへのI/Oコントローラへは最大1.6GB/秒となる双方向800MHz駆動のHyperTranspor、PCI-Xへは最大4.8GB/秒、メモリへは最大6.4GB/秒のバスが使われている。メモリにはDDR400 ECC 512MBまたは1GBを標準装備し、最大8GBまで拡張可能だ。なお、同じDDR 400でも、非ECCのPower Mac G5用は利用できないので注意が必要だ。

ハードディスク構成が変更に

 前面(写真2)にはホットプラグが可能なHDD「Apple Drive Module」(写真3)、スロットローディング方式の24倍速CD-ROMドライブが標準装備されている。また、各種ステータスをあらわすインジケータは健在だ。

写真2 写真2 前面。HDD(Apple Drive Module)が3つ用意され、その間に通風口が用意されている。右上の細い溝がCD-ROMドライブのベイ。
写真3 写真3 Apple Drive Module

 ドライブモジュールベイはこれまでの4個から3個と減り、空いた部分を通風口としている。これはG5を搭載したことで冷却の必要性が増したためだろう。Apple Drive Moduleには80GBと250GBの2種類が用意され、最大750GB搭載可能となる。なお、今回のモデルからSATAが採用されたため、以前のモデルで利用していたApple Drive Moduleは利用できなくなっている点に注意が必要である。

 各Apple Drive Moduleは、それぞれ専用のSATAコントローラを持ち、ドライブチャンネルが独立している。そのため、SCSIを使ってマルチドライブ構成にした場合によく見られる「1台のドライブのトラブルで残りのドライブが使えなくなったり、パフォーマンスが低下する」といった問題も回避できる。

 背面(写真4)には、2基の独立したギガビットイーサネットを備え、それぞれが専用の64ビット/133MHz PCI-Xバスに接続される。このほか、64ビットPCI-Xスロットが2つ用意され、それぞれが独立したバスにつながる構造となっている。133MHz駆動のカードなら1枚、100MHz駆動のカードなら2枚を同時に装着できる。写真4ではオプションのATI RADEON 7000の64MBが搭載されている。

写真4 写真4 背面。ビデオ出力のほか、USB 2.0×2、Firewire 800×2(前面にFireWire 400ポート×1)、9ピンシリアル、ギガビットイーサネット×2が用意されている

クラスタ構成も容易に可能に

 Xserveにはクラスタノードモデルも用意されている。ほかのモデルとの違いは、利用可能なドライブベイが1つだけなこと、CD-ROMドライブが搭載されていないこと、OSが10クライアント版であることだ。しかし、PowerPC G5 2.0GHzのデュアル構成でありながら、価格はシングルプロセッサモデルと同じとなっている。

 Xserveでクラスタ環境を構築する際は、「ヘッドノード」としてクラスタノード以外のモデルを1台用意し、Mac OS X ServerのNetboot機能を利用して作成した標準システムのディスクイメージを各クラスタノードに配備、運用する形となる。

すぐに運用できるOS

 付属OSは、Mac OS X Server v10.3(7月末時点での搭載OSのバージョンは10.3.4)のUnlimitedバージョンとなっており、接続クライアント数には無制限となっている(図1)。標準搭載のQuickTime Streaming Serverもユーザー数に乗じて増える使用料がない点は魅力だろう。そのほか、JBossアプリケーションサーバー、MySQL、OpenLDAPなども標準で搭載されている。

図1 図1 Mac OS X Serverのデスクトップ。従来とそれほど変化はなく、少しシンプルになった印象だ。下側のパネルには、システム設定、各サービスの起動・設定、サーバーモニタリングツール、ターミナルのアイコンがある。これらだけで基本的なサーバー管理はすべてまかなえてしまう。

 OS起動時には、自動的にソフトウェアアップデートのツールが起動するようになっており、あればダウンロードして導入直後でもすぐに最新の状態に保てる。また、そのスケジューリングも、システム設定メニューから簡単に設定可能だ。各種サービスの起動・設定は「サーバ管理」から、ハードウェア故障などをメールで通知させるのは「サーバモニタ」からメールアドレスを設定するだけで行える。非常に初期導入作業コストが低い、管理が楽なOSだ。

パワーを求める人に

 海外ではすでに大型の導入案件も予定されている。Colsaは6月に、軍用の超音速飛行の空気動力学シミュレーションを米軍に納入するため、Xserve G5を1566台購入している。同システムは約15テラフロップの性能に達する見込みだという。なお、最新のスパコン上位500ランキングで最も高速なシステムは、35.8テラフロップを記録したNECの地球シミュレータである。それと比べると15テラフロップは約半分程度の性能となるが、システムの構築費は100分の1程度である。

 PCの1Uサーバーと比較すると高価だが、Xserve G5と同程度の性能のものを用意しようとすると、Xeon/3.2GHzクラスのマシンとなり、PCでも意外と高価になる。OSの保守・クライアントライセンス、標準搭載の管理ツールなども含めると、コストパフォーマンスの面でもPCサーバーと同等のレベルまできたといっていいだろう。

Xserve G5
■価格:36万7,290円から
■問い合わせ先:
アップルコンピュータ
http://www.apple.com/jp/


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