CMS導入は企業の社会的責任〜米Stellentのメイシー氏コンプライアンス対応は不可避(2/2 ページ)

» 2004年09月01日 00時34分 公開
[岩崎史絵,ITmedia]
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企業に課せられた「義務」

 ISOなら製造プロセスに従った社内の文書管理が必要になるし、米国医療保険の規制なら患者の個人情報に対する取り扱いも項目に含まれている。こうした取り組みが企業の社会的責任の遂行につながり、その姿勢がマーケットにも影響を与える。

 例えば、法的効力のない「SEC Rule 17a-4」にしても、米国では対応していなければ証券取引の場に加えてもらえない。コンプライアンスに向き合わなければ、企業として存在できない時代になっている。そこでCMSの出番というわけだ。

 「コンプライアンスという観点から考えると、情報やドキュメント、コンテンツなどの非構造化データが重視される。しかもただ保管するだけでなく、一定の期間が過ぎたら廃棄するといった、コンテンツのライフサイクルを管理する仕組み、そして業務プロセスの中できちんと法令順守ができているかをマネジメントする仕組みが必要になる。ここにCMSの価値がある。」(メイシー氏)

 もともとコンプライアンスは、「ペンと紙」の部分をルールに基づいてきちんと管理することに主眼を置いている。ITの世界ではそれが非構造化データというわけで、この部分をきちんと管理しようとすると、膨大なコストがかかるものだ。「その観点からいっても、CMSソリューションは期待できる」とメイシー氏。

 「たとえばISOとSOXでは、会計と製造分野というように、表面上は異なる規制だ。しかしコンテンツ管理という側面から見ると共通化できる部分も多い。大多数のユーザーはISOとSOXで別々のポイントソリューションを導入しがちだが、そうすると全体のコストがかさんでしまう」(メイシー氏)

「共通化できるコンテンツをCMSでまとめ、インタフェース部分だけをニーズに応じて選んでいくアーキテクチャが求められる」と同氏。

いまITに求められる機能は「コンプライアンス対応」

 メイシー氏は「コンプライアンスの対処は企業にとって必須。しかし、社内の多くの組織が関わるため、コンプライアンスを徹底するのはとても難しいのが現実。そこで、いまのITには『コンプライアンス問題にどのように対処していくか』がミッションになっている」(メイシー氏)と語り、同社の製品を紹介した。

 Stellentでは、「Document Transform Technologies」というプラットフォームの上に、「Universal Content Management」「Imaging and Business Process Management」「Compliance and Records Management」という3つの製品体系を用意している。

 Universal Content Managementはいわゆる通常のドキュメント管理システムの機能を持ち、Imaging and Business Process Managementは、ハイエンド・ハイボリュームのスキャニングイメージの管理をビジネスプロセスに沿って管理するソリューション。

 そしてCompliance and Records Managementはさまざまな規制やルールに適応し、コンテンツの管理から廃棄までのライフサイクルを管理するものとなっている。

 同社のユーザーとしては、石油精製業を営む「コーク・インダストリー・インク」が挙げられる。ジュリア・ロバーツ主演の映画「エリン・ブロコビッチ」で集団訴訟の相手となった企業といったらわかりやすいだろう。

 「石油プラント業では、環境法などの対応が必須となっている。そこで社内の文書を管理し、環境法と集団訴訟などへの対応を強化するためにCMSを導入した。ペーパーレス化によるコスト削減などの効果もあるが、社内情報が流出する危険性を排除することができたことは何より大切なこと」(メイシー氏)

 いままでCMSを単なるドキュメント管理ツールだと考えていた方も多いだろう。今後はコンプライアンスというキーワードの下、社内に拡散する情報をライフサイクルに沿って管理するという手段も考慮に入れておきたい。

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