「ILMを1年半前に唱えたパイオニア的存在」と説明するのは、米EMCのハワード・エリアス主席副社長。他社との違いをたずねると、「それは実行力だ」と、自信をみなぎらせる。
ストレージベンダーが熱病にかかったごとく口をそろえる言葉がある。情報ライフサイクル管理(ILM)――。ストレージ業界は今、ILMを中心に動いていると言ってもいい。
増え続けるデータをできるだけコストを抑えて管理し、必要なときにすかさず価値に変られるか、目指すところはみな同じで、そのコンセプトもシンプルだ。
1ドル当たりのストレージの管理には、その3倍の3ドルの管理コストがかるともいわれ、管理コストの圧縮は企業とベンダーが立ち向かわなければならない課題として、認識が一致しているのだ。
「ILMを1年半前に唱えたパイオニア的存在」と説明するのは、米EMCのマーケティング&テクノロジー担当主席副社長ハワード・エリアス氏。他社との違いをたずねると、「それは実行力だ」と答え、自信をみなぎらせる。
ストレージハードウェアの巨大企業というイメージが先行してきた同社だが、昨年、バックアップソフトLEGATO Systems、コンテンツ管理のDocumentum、そしてVMwareとソフトウェア企業を次々と買収。鍵となるソフトウェアを手に入れ、ILM戦略を加速させている。
――今やILMを言わないストレージベンダーはいません。描かれる絵にも違いがありません。あなたはEMCがIMLのパイオニアと言われますが、EMCのアプローチの差別化要因はどこにあるでしょう?
エリアス 私たちが唱え始めたILMに、業界全体が同意してくれたことを誇りに思います。情報量は激増し、法令順守という形で規制も増えている一方で、情報システム予算は年3%しか伸びていない。この中で、顧客の問題をどう解決するか、この点でILMが鍵を握るものとなっています。
このILMを顧客に提供していく上で成功するには、いくつか重要なポイントがあります。
まずは、顧客の環境や業務プロセスを真に理解して、インフラにマッピングしていくこと。これをやった上で、革新的な形で提供できるかです。
そのために、ストレージハードウェア、つまりプラットフォームを幅広く包括的に提供できる必要があります。現在の顧客の要件、そして将来の要件を満たすために、ハイエンド、ミッドティア、ローコスト、SAN、NAS、CAS、場合によってはテープも提供できなければなりません。ありとあらゆるものをそろえて、ILMで実現しようとしている階層化アーキテクチャに対応しなければなりません。
ソフトウェアツールも幅広く必要です。顧客のアプリケーション環境や業務プロセスを、階層化されたストレージインフラにマッピングするための技術です。データ保護/リカバリはどうか、データの移動を行うツールはあるのか。環境を管理するツールも必要でしょう。
ILMを本当に実現していくためには、このソフトウェアツールという部分が非常に重要になってきます。
4つ目は、パートナーとのエコシステムです。私どもには非常に強力なパートナーがいると自負しています。ほとんどのISVがパートナーになってくれてもいますし、SAPやOracleにしろ、顧客が使っているアプリケーションと、私たちの製品が統合されていくのも、今後は鍵になると思います。
そして最後のポイントは、これらをすべて実行していくための力がEMCにはある、ということです。多くの競合ベンダーはこの一つや二つは持っていますが、EMCのようにこれだけの幅と深みを持っているところはありません。
――同じ質問を、例えばHPなどにしたら、同様な答え方をします。
エリアス 私たちほど、ストレージシステムを包括的に提供できるところはほかにありませんよ。ここが非常に大きいと思います。サービス、コンサルティング、ILMのアセスメントも私たちのように実行できるところがあるでしょうか?
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