米計算機学会、ペーパーレス電子投票に否定的見解

米国のコンピュータ学会であるACMが、ペーパーレスの電子投票に否定的な見解を明らかにした。(IDG)

» 2004年09月28日 18時57分 公開
[IDG Japan]
IDG

 自動化された投票システムでは、投票者には自分の投票が正しく記録されているかどうかをチェックするための物理的記録を発行してもらう権利があることを考慮すべきだ――。米国計算機学会 (ACM) が9月27日に発表した。

 ACMはニューヨークに本部を置く、ITプロフェッショナルと学生による協会。7万5000人の会員を持ち、テクノロジーが社会に与える影響にフォーカスしている。

 ACMは会員に対し、投票者は物理記録を請求すべきか否かについて質問を行った。中間結果によると、ACM会員の95%が「請求すべき」と回答した。

 「投票システムでは個々の投票者が物理的な(紙などの)記録によって、自分の票が正しく投じられており、システムにより生成されて保存された結果を、独立性を保って確認することを可能にすべきである」とACMのWebサイトには掲載されている。「これらの記録を永続的なものにする(コンピュータのメモリに保存するのではなく)により、正確な再集計が可能になる」とACM。

 ACMによれば、独立系のコンピュータ科学者により電子投票システムはプログラミングエラー、機器の誤動作、悪意のある改ざんに対する脆弱性を持つとの報告がこれまでに4回発表されているという。

 しかし、電子投票システムベンダーと業界団体はセキュリティ問題を否定しており、ペーパーレスの電子投票システムはセキュアであると主張しているとACM。

 11月2日に行われる米大統領選挙では、電子投票(タッチスクリーンを含む)、紙、レバーマシン、紙の投票用紙の工学スキャン、パンチカードなど、さまざまな投票テクノロジーが採用される予定だ。

 ネバダ州は州として初めて電子投票の採用を決めているが、投票結果が接戦であった場合には紙の記録を発行し、再集計に使う。ジョージア州では完全に電子的に行う予定で、1万9000台以上のタッチスクリーンシステムが導入される。

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