MS、EU裁判所に是正措置の執行猶予を要請

MSは、欧州委員会により命じられた独禁法裁定の執行猶予を申し立てた。(IDG)

» 2004年10月01日 07時49分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米Microsoftは9月30日、欧州委員会が同社に対して命じた独禁法裁定の執行猶予を裁判所に要請した。秘密が開示されてしまえば取り返しのつかないことになると主張している。

 Microsoftはルクセンブルクの第一審裁判所で2日間にわたって開かれている審問の初日にこの主張を展開した。この場で同社は、自社の事業慣行に深刻な影響を与えかねない決定を不服として争っている。

 欧州連合の高裁に当たる第一審裁判所で開かれた今回の審問は、上訴審の判決が出るまでの間に是正措置の執行を猶予するかどうかという点のみに焦点が絞られている。第一審裁判所のボー・ベステルドルフ所長が決定を言い渡すのは約2カ月先になる見通し。是正措置のうち一つだけ、あるいは両方の執行猶予を認めるのか、またはMicrosoftの訴えを全面的に退けるのかの判断はベステルドルフ氏にかかっている。

 この日の審問は互換性問題が焦点となった。自社のスペックが競合するサーバソフトメーカーに開示されれば革新が阻害され、知的財産権に回復不可能な損害を被るとMicrosoftは訴えた。

 Microsoft側はさらに、この市場には大いに競争が存在すると主張。これは、MicrosoftがデスクトップOS市場での独占を利用してライバルを締め出したとする相手方の主張を牽制した形だ。

 プロトコルを競合相手に引き渡せば、革新の意欲が恒久的に阻害されるとMicrosoftは述べている。

 ベステルドルフ氏は、競合相手が手放し状態になるのを避けるために時間制限を課すことは可能かどうかと尋ね、さらに、制限がないことが、「是正措置は違法行為に比例したものでなければならない」という原則に反すると見なされるべきかどうかについて検討した。

 その後同判事は回復不可能な損害に的を絞り、知的財産権を保護するために、競合相手に開示した規格にその後技術的な変更を加える方法はあるかどうかとMicrosoftに尋ねた。

 「完全に新しいプロトコルを作り出すことは原則的には可能でも、現実的には不可能」だとMicrosoft側代理人のロイ・ハースト氏。

 裁判所がこの論議を検討する間、Microsoftは、上訴で敗れた場合にWindowsの変更を命じた欧州委員会の裁定に従えるよう、既に「数百万を費やした」と述べている。

 Microsoftによれば、社内に特別グループを設け、サーバソフト向けの互換スペックの準備に当たっているという。これらの仕様は裁判所の判決が出てから3〜4週間で準備が整うと同社。

 10月1日の審問では、是正措置のうち、Windowsへのメディア再生ソフトのバンドル解除を求めた条項に焦点が当てられる。

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