Kodakのオブジェクト特許、MS、IBM、HPはライセンス済み

Sunと同様にKodakによる特許訴訟の標的となる可能性があるとされていた企業のうち、HP、IBM、MSの3社は問題の特許ライセンスを取得済みだということが判明した。(IDG)

» 2004年10月05日 12時01分 公開
[IDG Japan]
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 10月1日に下された特許訴訟判決は、Sun Microsystemsが対象となるものだが、潜在的にはコンピュータ業界全体に影響する広範なものだ。しかし、この判決は世界最大のIT企業である3社、Hewlett-Packard、IBM、そしてMicrosoftについては大きな影響を与えることはない。というのも、この3社は特許を保持するEastman Kodakからライセンスを受けているからだという。Kodakは10月4日、このことを明らかにした。

 ニューヨークの連邦裁判所はSunのJava技術がKodakの特許を侵害しているとの判決を下し、Kodakが10億6000万ドルの賠償請求を行っている被害額の評価に入る。

 この判決直後に持ち上がったのは、Kodakの特許が影響するのはSun以外ではどこか、ということだ。

 Kodakの特許の適用範囲はあまりに広く、Windows OS、.NETプラットフォーム、IBMのDB2などもカバーされてしまうとIlluminataのアナリストであるジョナサン・ユーニス氏は述べる。

 Kodakの特許はWang Laboratoriesのイメージングソフトウェア部門が開発した技術をKodakが1997年に買い取ったもので、2個のソフトウェアが協調動作する技術、つまりオブジェクト指向プログラミングのキーコンセプトであり、ユーニス氏によれば、1960年代に開発されたSimulaコンピュータ言語にまでさかのぼることができるという。

 Javaがこの特許に抵触するというのなら、すべてが抵触してしまうとの指摘もあり、ソフトウェア特許システムの不備について非難する声も上がっている。

 Microsoftも同様にこの特許に抵触しているとの観測がされていたが、Kodakの広報担当者であるジム・ブランフィン氏はMicrosoft、IBM、HPがこの特許の使用許諾を得ていることを認めた。問題となっている米国特許は、5226161、5206951、5421012の3件である。

 Kodakは将来の訴訟拡大については未定だとしており、特許技術を実際に使用しているかどうかについてもコメントを拒否している。訴訟に関してKodakは、自社の知的所有権が正しく評価されたことをうれしく思っているという短いコメントを述べたのみ。

 Sunにとっては、Kodakのライセンスを受け入れ、賠償請求に応じるか、控訴するという2つのオプションがある。ソフトウェア特許に関してはひっくり返る可能性も高いので、判決が下されたからといって結論が出たわけではないとの観測もある。

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