ビジネスユーザーに使いやすく、WebTrends 7が目指すアクセス解析の進化形

Webサイトを運営する企業は、効率的なアクセス解析を行い経営への意志決定材料にしなければならない。WebTrends 7は、システム開発部門を超え、ビジネスユーザーが使いやすいツールへと進化した。

» 2004年10月12日 17時40分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 ソリューションやシステム構築事業などを行うアイ・ティ・フロンティアは、米NetIQ開発のアクセス解析ソフト新版「WebTrends 7」の発表会を行った。

 WebTrendsは、1994年に開発され、これまでに全世界で6万社への導入実績を誇るWebサイトアクセス解析ソフトウェア。国内では、NTTドコモ、nakata.net(彼方)サイトなどで利用されている。最新バージョンとなるWebTrends 7は、新機能搭載やユーザーインタフェース改善などがポイントだ。

経営意志決定を早めるにはビジネスユーザーの使い勝手向上がポイント

 製品発表会では、米NetIQからシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャのグレッグ・ドリュー氏が招かれ、WebTrendsと、取り巻くアクセス解析の業界動向についてが語られた。

米NetIQ、シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャのグレッグ・ドリュー氏

 「アクセス解析は、これまで企業のシステム開発部門が行うものだった。しかし昨今では、経営判断する上で重要な情報であると見直されている。意志決定を早めることができるよう、ビジネスユーザーが自由に解析する使い勝手の良さが求められている」とドリュー氏。

 また、これまでの導入課題として次のような点が挙げられてきたという。

 「ビジネスユーザーはアクセス情報活用に関心を持っている。しかし、障害となってきたのは、アクセス解析の仕組みを理解しづらい点。どのように通常業務のビジネスフローに採り入れるかが課題とされてきた」(ドリュー氏)

 さらに、アクセスデータは多いが目的の情報へたどり着けない、レポート内容が理解できないといった報告が多いことを強調した。ビジネスユーザーが扱うにはこのような問題を解決することが最善だったと言い、WebTrends 7開発での課題になったという。

詳細なアクセス解析をグラフィカルのまま操作可能

 WebTrends 7は、直感的、インタラクティブ、インテグレーション、という3つの機能に焦点を当てて開発された。

 直感的な点は、「スマートビュー」機能に代表される。これは、Webページを通常通り見るように、リンククリック回数解析がオーバーレイ表示されるもの。個々のリンク解析により収益監視できるとの狙いだ。

スマートビューによるリンク解析機能

 また、関連して解析シナリオが設定でき、特定ドメインからに限定するなど、フィルタリング指定も可能。「特定プロモーション効果を評価するROIにおいて重要なもの」とドリュー氏は強調する。

発表会では、NetIQが広くデモ公開するZedescoサイトを例に挙げ実演

 ユーザーは、予測できない形でページを渡り歩くもの。そのページ移動データは、サイトが設計通りに使われているかの判断材料となる。これに対し、WebTrends 7では「経路分析」機能を搭載している。従来までは、テキストレポート形式だったものが、新版ではグラフィカルな画面に変更された。情報の視覚化が大きなポイントであると言い、企業内で多くの部門に導入を促せる点だと語る。

 「インタラクティブ」さも重要なバージョンアップポイントだという。最大20階層までのドリルダウン表示を可能とし、取り出したい情報を、ビジネスユーザーが自由にレポート形式指定できることがWebTrends 7のポイント。Webブラウザ上での解析表示はもちろんのこと、定期的なEメール送信も可能などと多岐に渡る。これらは「レポートセンター」機能と呼ばれる。

さまざまな観点から解析することができる。その要は、アクセスデータを日ごとにDB格納し、解析する視点(機能)が豊富なこと

 ほかにも、Excelのピポットテーブルを利用してドリルダウン表示のプルダウンでメニューが作成でき、「スマートレポート for Excel」では外部のデータを取り込むこともできる。

 具体的な解析シーンを考えると、他のWebサーバからアクセスデータも取り込み比較したいといった要望がある。このようなニーズにも応え、Excel上からのアクセスも容易になるようWebTrendsのツールバーが追加される。

2つの運用形態がある

 WebTrendsの運用形態には、オンデマンド(ASP)型とソフトウェア型、2種類がある。前者はサーバ上にアクセス解析環境を構築するもの、後者はクライアントPCにWebTrendsをインストールし、アクセスデータを参照するDBをローカル構築するものだ。

 共に、WebTrendsが扱う解析データはMySQL上に格納され、Webサーバログへのアクセスは最小限に押さえられる仕組みとなっている。解析を行いデータベース構築する作業は、多くのアクセス解析ツールと同じく比較的サーバアクセスの少ない時間に行う。

 ドリュー氏はインタビューで、「今後は、オンデマンド型のシェアが増えていくと予想される。現在はソフトウェア型のシェアが多いが、ビジネスユーザー増加が影響していくだろう」と語った。

 なお、WebTrends 7には3つの製品がラインアップされている。主にアドオン機能数と年間PV(ページビュー)数でライセンスが分けられ、「スモールビジネス」は4アドオン及び100万PV/1ライセンス、「プロフェッショナル」は9アドオン及び500万PV/1ライセンス、「エンタープライズ」は無制限アドオン及び2000万PV/1ライセンスとなっている。

アクセス解析に付加価値を持たせるB2B/B2Cソリューションも計画

 アイ・ティ・フロンティアでは、エンタープライズエディションを前提としたB2B/B2Cソリューション提供も行う(12月まではキャンペーン中)。

 WebTrends 7上では、通常、アクセス元情報表示はドメイン名止まりとなる。B2B/B2Cソリューションは、これに付加価値を持たせるものであり、取得可能項目として企業名、業種、所在地、資本金などを表示できるよう計画しているという。外部データと解析結果を連動させ、ビジネスユーザーがより業務上で扱いやすくなるよう拡張するものだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ