見えないリスクに備える、高まり見せるフォレンジック製品(1/2 ページ)

情報漏えいや不正アクセスといった犯罪に対し、法廷で争うための証拠データを記録するフォレンジック製品。経営者の視点から登場してきたセキュリティ製品と言い、使いやすさと低価格を売りにしているのは、若いベンチャー企業のコネクタスだ。

» 2004年11月12日 14時02分 公開
[ITmedia]

 フォレンジック製品と呼ばれるシステムが多数登場してきている。情報漏えいや不正アクセスといった犯罪に対し、法廷で争うための証拠データを記録するための製品だ。米Enronの不正会計処理事件で、この種の製品が活躍し、証拠が実際に法廷で利用されたことで知られ始めた。

 最近では、日本でも2005年4月個人情報保護法の全面施行を背景に、フォレンジック機器を導入しようという動きが企業に見られるようになってきた。

藤田裕二氏 電子メールに特化したフォレンジック機器「メールタンク」を開発したコネクタス代表取締役の藤田氏

 「危険性の見えにくいものに対するセキュリティ製品。そう捉えると分かりやすいでしょう」。このように語るのは、電子メールに特化したフォレンジック機器を開発したコネクタスの代表取締役 藤田裕二氏。同社は、情報セキュリティサービスの提供を目的に2001年末に設立されたベンチャー企業、今年「メールタンク」というフォレンジック機器を開発し、7月から販売活動を始めた。

 「いままでのファイアウォール、アンチウイルスなどの代表的なセキュリティ製品は、リスクが見えるものへの対策でした。しかし、フォレンジックはこれらとは異なる。見えないリスク、つまり人の行動を記録することで、身を守るための製品なのです」(同氏)

 サーバやネットワーク機器のログによっても、システムへのアクセスといった人の行動を把握することはできる。だが、ログは本来システムの動作状態を管理者が把握するためのものであるのに対し、フォレンジックは、その名の通り(forensic=「法廷の」などと訳される)法的証拠を収集するものとして登場してきた経緯があるという。むしろ、経営者の視点から登場してきた製品なわけだ。

 Yahoo! BBの個人情報漏えい事件が大きく報道されて以来、個人情報保護の機運が高まっている。しかし、毎週のように個人情報漏えいが報じられ、事件は後を絶たない。このようなリスクをいかに回避するか、企業はフォレンジック製品に注目し始めたわけだ。「ネットワークプロパーじゃない人間の方が、この手の製品は理解しやすいようだ」と同氏は加える。

シンプルで導入しやすいフォレンジック製品「メールタンク」

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