ニュース
» 2004年12月13日 17時53分 公開

いよいよ具体化するバイオメトリクス認証

プライバシー上の問題を抱えつつも、米政府によるバイオメトリクス技術の採用は着々と進んでいる。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 バイオメトリクス(生体認証)技術のコミュニティーはこの時を待っていた。「バイオメトリクスは、わが国の国土安全保障の議題の筆頭にある」と、米国土安全保障省(DHS)のエイサ・ハッチンソン次官(国境・運輸安全保障担当)が、2004年のBiometric Consortium Conferenceで宣言したのだ。

 同氏の発言は誇張ではない。DHSは、バイオメトリクス技術に大きく依存した大掛かりな試験プログラムを三つ導入している。これらプログラムは、その成否がバイオメトリクス技術の全米規模の採用に影響を及ぼすことが必至であるため、支持者からも運動家からも注目を集めている。

 三つの中で最もよく知られているのが、米国訪問者・移民現況表示技術(US-VISIT)を使った国境警備プログラムだ。115の空港と14の海港に設置されたUS-VISITの下、他国から米国にやってくる渡航者は、米入国の際、人さし指の指紋のスキャニングとデジタル写真の撮影を求められる。この情報は個人の身元確認に使われるほか、既知の犯罪者とテロの容疑者のデータベースと照合される。

 また、5カ所の主要空港では、米運輸保安局(TSA)の登録旅行者(Registered Traveler)プログラムが導入開始されている。これは、登録済みの旅行者の場合、空港のセキュリティチェックを迅速に済ませられるようにし、検査官が、危険度の高い未知の旅行者のチェックに時間をかけられるようにするもの。どの技術が最適かを判断するため、5カ所の空港でそれぞれ異なる技術と機器構成の採用が進められている。例えば、顔面認識と虹彩走査技術の両方を使用するシステムもあれば、そのどちらか一方、あるいは全く別の技術を採用するシステムもある。

 さらに三つ目として、TSAの運輸従事者身分証明(TWIC)プログラムのプロトタイプ作業が、7カ月の予定で8月から開始されている。これは、運輸業者の身分の証明に写真付きのスマートカードを使おうというもので、無許可の人間が運輸業者を装ってセキュリティエリアに侵入するのを防ぐことが狙い。TSAは、6州の地上、航空、鉄道、海港の各施設で、15万人の運輸従事者にこのカードを発行する予定だ。

 非営利団体Biometric FoundationのM・ポール・コリアー理事長は、これは正しい方向への一歩だと語る。「バイオメトリクスには、セキュリティと便利さという二つのメリットがある。バイオメトリクスは、あらゆる個人認証に不可欠なツールだ」

 しかし、プライバシー権の擁護者は、データの誤用や悪用への警戒感を日増しに募らせている。例えば、合法的な使用目的で集められた情報が、いずれ非合法の目的で使用されて身分詐称の問題が起きるのではないかとの懸念だ。

 しかし、米政府はプログラムを拡大していく計画だ。San Francisco Chronicle誌によれば、サンフランシスコで先日開催されたカンファレンスで、ポール・マクヘイル国土防衛次官補は次のように語り、バイオメトリクス業界に対し、さらなる技術の開発を促したという。「われわれの敵は残忍でずる賢く、もはや軍服を着ていない。そうした21世紀の敵を識別するのに、バイオメトリクスが非常に重要な役割を果たせると私は信じている」

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ