Qtのライセンスは開発者ライセンスです。開発者ごとに商用ライセンスが必要で、使用するプラットフォームに応じてDuo、Trio、Quadといった種類があります。また、機能的にProfessional版とEnterprise版があり、表6が機能の相違を一覧にしたものです。
| 相違点 | モジュール | 内容 |
|---|---|---|
| ProfessionalとEnterprise共通 | Qt基本モジュール | プラットフォームに共通な基本機能 |
| Qt Designer | ウィジェットデザインのためのGUIツール | |
| アイコンビューモジュール | アイコン表示 | |
| ワークスペースモジュール | マルチドキュメントインターフェイスのサポート | |
| Netscapeプラグイン拡張 | Netscapeブラウザのプラグイン作成 | |
| Enterpriseのみで、ソースコードに包含 | OpenGL 3Dグラフィックモジュール | OpenGLラッパー。Qt/Embeddedでは未サポート |
| データベースモジュール | 各種RDBへの独立インターフェイス | |
| ネットワークモジュール | ソケットまたはサービスプロトコルレベルでのネットワーク機能 | |
| キャンバスモジュール | アンチエイリアス、画像移動、コリジョンディテクションなどをサポートする2Dグラフィック機能 | |
| テーブルモジュール | テーブル機能 | |
| XMLモジュール | SAX2、DOMレベル2のXMLパーサー | |
| ActiveQt拡張 | Windowsのみ。ActiveXサポート | |
| Motif拡張 | X11のみ。MotifからQtへの移行をサポート | |
| Enterpriseのみで、別途ダウンロード | Qtソリューション | MFCからQtへの移行フレームワーク、オブジェクトインスペクタ、翻訳プレビュー、CORBAフレームワーク、ICOイメージ、JPEG 2000イメージ、libxml2リーダー、ファイルロック、リードライトミューテックス、共有メモリ、単一アプリケーション起動、Undo/Redoフレームワーク、パイメニュー、サムホイールなど |
| 表6 Professional版とEnterprise版の相違 | ||
Qt/Embeddedは、次のような理由からEnterprise版のDuoが最小限の組み合わせとなります。
また、デスクトップ版では、開発者ライセンスのみで開発をし、できたアプリケーションをロイヤリティなしで販売できますが、Qt/Embeddedではデバイス数に応じたロイヤリティが必要となります。
Qt/Windows以外のプラットフォームについては、ソースコードの公開と無償で配布することを前提にしたオープンソースのライセンスがあります。ソースコードは、ライセンスの記載以外商用版とまったく同じです。商用版ではサポートが受けられますが、オープンソース版にはサポートはありません。
なお、オープンソース版では、プロプライエタリなコードを併用していると、そのコードを公開しなければならない場合があるので注意が必要です。オープンソース版と商用版の併用はできず、商用には開発の最初から商用版を使用する必要があります。
このほかに、前述のすべてのQtについて、評価版ライセンスがあります。公的教育機関向けに、教育目的のための無償の教育用ライセンスがあり、公的研究機関向けには、非商用目的でのアカデミックライセンスのディスカウントがあります。
ライセンスについては、次のURLからたどれるLicensingとPricingのページに詳しく書かれています。
http://www.trolltech.com/products/qt/index.html
「第1回 フレームバッファでQtアプリ」の内容は3回に分けて掲載予定です。次回の掲載は12月17日を予定しています。ご期待ください。
uic: ユーザーインターフェイスコンパイラの略称で、Qt Designerで作成したファイル(.uiファイル)をC++コンパイラが解釈可能な形式に変換できる。
Qt/Windows以外のプラットフォーム: Windows版のオープンソースライセンスがない理由として、財務上や販売上の理由もあるが、WindowsはクローズソースなOSであり、フリーソフトウェア開発のコミュニティを欠いているからだと述べられている。
ライセンスについて: http://dot.kde.org/1081772638/
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