特集
» 2005年01月13日 23時59分 公開

サービス指向アーキテクチャ 第1部:市場概要――次世代プラットフォームの方向

これまでもIT分野は、数多くの専門用語や略語、造語を次々と生み出してきた。現在市場で注目を集める“サービス指向アーキテクチャ”(SOA:Service OrientedArchitecture)という言葉もその1つである。

[Open Enterprise Magazine]
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 SOAとは、アプリケーションやシステムを構築する際のアーキテクチャであり、ソフトウェア分野で使われる場合は、個々の業務処理やソフトウェアの部品を“サービス”と見なし、それをいつでも呼び出せるような仕組みにしておいて、ビジネス・プロセスを実行する際に、適宜呼び出して実行する形態を指す。

 再利用可能なサービスを連携利用するというコンセプトのため、低コストでシステムが構築/統合でき、環境やビジネス・プロセスの変化に対して柔軟かつ迅速に対応できる、といったメリットがあるとされている。

 SOAに対する期待が高まるとともに、その定義自体も拡散を始めている。この大きなトレンドに乗り遅れまいとするシステム・ベンダーやソフトウェア・ベンダーは、今年に入って相次いで戦略や対応製品を発表し始めたが、その実体を明確に示すほどの市場はまだ形成されていない。

 さらに、このSOAの考え方を、ソフトウェア分野だけではなく企業運営やビジネス組織にも応用し、事業体において相互に関連するビジネス機能や業務、組織を有機的に結びつけて、ビジネス環境の変化に柔軟に対応しようという考え方も登場し始めている。

 今回の特集では、SOAが現在のようなトレンドになるに至った経緯に触れ、主要ベンダーの製品戦略を紹介することで、現在のSOAについての動向を報告する。

第1部 市場概要――SOAはITユーザーにどのような影響を与えるか

 2001年頃、IT業界はWebサービスを大いにもてはやしていたが、結局のところあまり目立った成果を上げないまま、何となく尻すぼみになってしまった観がある。この手の流行言葉は浮かんでは消えていくものだが、IT業界には特にその傾向が強く、さまざまなマーケティング用語が生み出され過剰な期待を煽るだけで忘れ去られていく、ユーザー企業もそろそろそんな状況に慣れてきており、新しいコンセプトに対しては、当面の間懐疑的に眺めつつ静観するという態度が普通に見られるようになってきている。SOA(Service Oriented Architecture)にも、IT業界内部での取り上げ方とユーザー側の受け止め方にはっきりとした温度差が見られるようだ。SOAは単なるマーケティング用語に過ぎないのだろうか。

ITシステムの課題

 IT業界は、次々と新しいマーケティング用語を生み出してユーザーを煙に巻く、という見方が存在するのは間違いないよ

うで、SOAに関しても、かつてのWebサービス・ブームのときの反省からか、冷淡な反応が多いように思われる。しかし、SOAは既存のITシステムの問題点を解決するために提案されたもので、現在IT業界全体が目指している大きな流れの一部を担うものではないだろうか。

 現在のITシステムが抱える課題は、大づかみにまとめてしまえば「運用管理コストが高い」ということではないだろうか。

これを、ITに関わる人的コストと捉え直すと、新規システム開発のコストも含めてよいだろう。新しいシステムを作り出すこと、既存のシステムを改修すること、そして既存システムをそのまま運用し続けること、このいずれもが多額の人的コストを要求し、そこにユーザーが不満を感じているというのが現状だろう。

 ガートナージャパンが2004年5月に日本の企業ユーザーを対象にIT投資効果の実態を調査した結果、それまでのIT投資が「期待以上の成功」を収めたという回答が0.6%、「期待通りの成功」という回答が6.6%で、IT投資に満足できている企業は全体の7.2%しかない(グラフ1参照)。多額のIT投資を行ないながら、期待が完全に満たされてはおらず、何らかの不満を感じているということだ。

グラフ1■これまでのIT投資の成果

 では、企業ユーザーはITにあまり期待していないのかというと、そうではないようだ。むしろ、全く逆といえるだろう。IDCJapanが2004年7月に国内中堅企業を対象にIT投資動向を調査した結果、経営におけるITの位置づけについて、「経営の強化にとってIT不可欠である」という回答が90%近くに上った(グラフ2-1参照)。また、同じ調査でITの中でもどのようなテーマを優先して取り組んできたかを調べると、従来は「経理、会計、人事などの事務作業効率化」が半数近くを占めたのに対し、今後の最優先テーマ「意志決定の迅速化」という回答が最大となった(グラフ2-2参照)。中堅企業においても、基本的な事務処理のコンピュータ化はほぼ一段落し、今後は機動力のある迅速な意志決定支援のためのシステムが望まれているということだろう。

グラフ2-1■経営におけるITの位置付け
グラフ2-2■「経営情報の統合と活用」において、従来取り組んできた最優先テーマと、現在もしくは今後2、3年以内に取り組む最優先テーマ

変化に対する対応

記事の続きは、以下のPDFで読むことができます。


本特集は、ソキウス・ジャパン発刊の月刊誌「Open Enterprise Magazine」の掲載特集を一部抜粋で掲載したものです。次の画像リンク先のPDFで記事の続きを読むことができます。同特集は、2004年12月号に掲載されたものです。

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