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» 2005年01月14日 21時00分 公開

SOA実現への現実的なフェーズ、日立の戦略とはInterview(1/2 ページ)

ITシステムの複雑さを簡潔にする。これこそがSOAの目的とされているが、その実現プロセスは複雑。これを打破するためにはどのようにすべきか? 日立製作所の回答ポイントは「現実的なSOAの実現」フェーズだ。

[木田佳克,ITmedia]

 近年、企業情報システムへの課題実現が急務となっている。複雑化するネットワークをいかに経営戦略に役立てるよう最適化し、新たなビジネスプロセスに即対応できるのか? 非同期通信前提のインターネット利用で業務プロセスを担う現代、経営とITシステムが今まで以上に密接となる必要がある。そのシステム基盤構築のキーワードが、「SOA」(Service Oriented Architecture)だ。

 サービス指向アーキテクチャと訳されるこの「SOA」は、オープンスタンダードを掲げるJavaベンダー各社が自社製品をアピールするキーワードとなっている。しかし、サービス思考を実現するためには具体的にどのような取り組みを行えばよいのか? この点は各社で異なる見解だ。Java/XMLソリューションセンタ シニアコンサルタント 工学博士の大場みち子氏に聞き、同社の取り組みについてひも解く。

SOAの概要を図化したもの。ビジネスプロセスの分析、ITシステムの関連、そしてサービス構築がキーとなっている

 大場氏がインタビュー冒頭で語ったポイントは、経営革新におけるIT戦略の重視、既存システムの活用、そしてモデリングについてだ。

 それぞれには、日立製作所が1997年から「Cosminexus」の前身となった「Network Objectplaza」で、当時はまだオープンアーキテクチャではなかった段階から培ってきた分散オブジェクト技術が基になっているという。そして現在では、基幹利用が可能なように、ミッションクリティカルなITシステムが要求されており、信頼性、運用性、開発の容易さが追求されているのだ。

 「既存システム活用については、あまり語られることがありませんでした。しかし日立では明確なフェーズを設定しており、適用事例のある現実的なプランを掲げています」と大場氏。さらには、「たとえ、楽天やライブドアのサービスのように新規構築のシステムでも、昨今の技術革新は早いため次の一手には新たなものを取り込む戦略となります。次の一手をいち早く作り上げることが可能か? がポイントです」と、ITシステムの課題についてに触れた。

 大場氏が言及する「フェーズ」とは2つの段階を指している。既存システムが、たとえば個々のDBを持つ業務システムA、B、Cなどと分割していた場合、フェーズ1では業務モデリング導入によりビジネスプロセス設計、業務システムA、B、C間のインタフェース開発、業務システムA、B、CそれぞれのDBでは同期プログラムを開発、そして移行の実施となる。次なるフェーズ2では、フェーズ1で実現したシステムを基に、新規の業務システム構築を可能するべく個々の業務の明確なサービス化、コンポーネント化を実施していくという。

ほとんどの企業では既存システムの活用が要となるはずだ。2つのフェーズでサービス指向を実現していく

 すでに、フェーズ実行で事例としての適用モデルがいくつもあると言い、製造、通信、流通、公共などの事例が示された。

 そして、既存システムを活かしながらSOAを導入していくポイントとして大場氏が強調するのは、従来までのITシステムで重視されてきたBPM(Business Process Management:ビジネスプロセス管理)は見直しを行うべきであり、効率最適化だけではなく、ビジネスの変化に追従できるようサービス思考のインタフェースを再考することだという。

SOAにはモデルドリブンアーキテクチャを重視すべき

 大場氏は、SOA実現において見落としがちなモデリングの重要性を強調する。

 モデリングといえば、OMG(※1)推進の「UML言語」自体がクローズアップされがちだが、同氏が強調するのは「MDA」(Model Driven Architecture:モデル駆動型アーキテクチャ)についてだ。「MDAはプラットフォーム限定しない技術なため重要だと考えています」(大場氏)

※1 OMG(Object Management Group)は、ソフトウェア標準化を行っているコンソーシアム。

モデルドリブンアーキテクチャ(MDA)開発のステップ。モデル確立からマッピング、そしてソースコードに仕上げていく

 MDAに対し日立がどのように取り組んでいるか? 大場氏は「Javaの革新について、もはや開発の現場では言語習得がすべてではなく、ビジネスプロセスを構築、管理するためのノウハウ(BPM)こそが重要」と語る。日立では、MDA実現のための開発コンサルティングも行っているという。次のようなアプローチだ。

 「業務プロセスをワークフローに統合することがビジネスのインテグレーションとなります。そのためには、プロセスの再定義を行い業務アプリケーションが適所に配置することが大事です」と大場氏。日立ではこれらに対する解決策として、前述の「業務モデリングコンサルテーション」と呼ぶサービスを行っている。ユースケースをコンポーネントベースへと移行させる開発アプローチを現実化させるものだ。

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