電話番号は、その番号に電話をかけたり、逆引電話帳を利用したりすることにより、容易に加入者や利用者を特定することができることが多い。そのため、番号だけでも「個人情報」(法2条1項)に該当すると理解して運用すべきでしょう。これによると、電話番号を社内のデータベースに記録することは、「個人情報を取得する」行為になります。
個人情報保護法では、個人情報を取得する場合は、その「利用目的」を(1)あらかじめ公表しておく、(2)取得後速やかに本人に通知する、(3)取得後速やかに公表する――のいずれかを行うことを義務付けています(法18条1項)。
これまで消費者対応電話や苦情処理電話などにかかってきた電話について、その苦情内容などとともに、相手方の電話番号も断りなく記録していた会社も多いと思われます。今後は、(1)あらかじめ電話番号を記録することと、それがどのような目的で利用されるのかを、苦情処理の電話番号と一緒に表示しておくか、(2)電話を受けた際に番号を記録することと、その目的を相手に伝えるなどといった運用が必要になります。
なお、法律は、利用目的を「通知」あるいは「公表」さえしていれば、記録することの「同意」を得ることまでは要求していません。ただ、会社の信用を得るための顧客対応としては、「記録しては困る」といわれた場合には、データベースに記録しないことが好ましいでしょう。
古本晴英プロフィール
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.