本人の了解の下で公開されている個人情報は、誰でも自由に利用してもよいのですか?個人情報保護Q&A

» 2005年02月04日 14時19分 公開
[ITmedia]

 個人情報保護法は、公開されている情報と公開されていない情報について、取得や利用に関する規制を区別していません。したがって、公開されている個人情報を取得した場合にも、あらかじめ「利用目的」を公表しているのでなければ、その「利用目的」を速やかに本人に伝えるか、公表しなければなりません(法18条1項)。

 「利用目的」については、できる限り特定し(法15条)、その特定した利用目的の達成に必要な範囲で個人情報を利用しなければならなりません(法16条1項)。データベースを作成したら十分な安全管理措置を講じなければならないこと(法20条)などの要求事項についても、公開されている情報か否かによって区別されません。

 裁判例の中には、ある眼科医の氏名、診療所の連絡先といった眼科医自身が積極的に公開している個人情報を、無断でインターネット上の掲示板に掲載することは民法の不法行為に該当するとして、損害賠償を認めたものがあります(神戸地裁1999年6月23日判決)。公開されている情報であるからといって、どのように利用してもよいわけではないことを端的に示す裁判例といえます。

古本晴英プロフィール

1998年弁護士登録。日弁連情報問題対策委員会委員。社団法人自由人権協会(JCLU)理事・事務局次長。民事、刑事の訴訟実務のかたわら、弁護士会の個人情報保護対策の実施や、国民生活センターの客員講師として個人情報保護法の講座を担当している。主要著書に「Q&A個人情報保護法」(三省堂、共著)、「個人情報管理・運用の実務」(新日本法規、共著)がある。

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