スーパーボウルのもう1つの防御戦

スーパーボウルのセキュリティ対策は、大イベントにふさわしい超大規模なものだった。警備には最新の監視カメラなどが導入されたが、バイオメトリクスは採用されなかった。(IDG)

» 2005年02月09日 18時35分 公開
[IDG Japan]
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 「これはわれわれの最高のイベントだ。国際的な舞台であるため、ゲームの成功とともに、人々がセキュリティを心配しないで済むことが極めて重要だ」。National Football League(NFL)のセキュリティ担当上級副社長、ミルトン・アールリッチ氏はスーパーボウルの開催を前にそう語った。2月6日、同氏はフロリダ州ジャクソンビルで開催のスーパーボウルで8万人近くの観衆を迎えた。今年のスーパーボウルのセキュリティ対策の多くは観戦に来た人々にとっておなじみのものかもしれないと同氏は語った。

 だが、NFLの通常のゲームよりはるかに大がかりなスーパーボウルでは、超大規模なセキュリティ対策が必要になる。予算規模もそれにふさわしいものだ。スーパーボウルの安全な開催のためにセキュリティに資金を投じるのはNFLと開催市、連邦政府で、今年の支出額は1000万ドル超、NFLが5割以上を負担している。また、フィールドからスタンドまでのスペースも一般のNFLゲームより広く取られ、フィールドの両サイドには約90mにわたってバリケードが築かれる。さらに、NFLゲームの開催時には常にスタジアム上空が飛行禁止になるが、禁止区域も通常より拡張される。

 セキュリティ確保で最も負担がかかるのは開催市の警察で、今年、ジャクソンビルの保安当局は関連部局が総力を挙げてまとめたセキュリティプランを実施した。

 アールリッチ氏は、スーパーボウルがテロの標的になると考えられているとは語らなかったが、NFLは「どんなリスクも放置しない」と述べた。このため、開催スタジアムの内部と周囲に最新の監視カメラを設置する必要がある。アールリッチ氏はジャクソンビルの改良されたシステムを取材の少し前に調査したが、バイオメトリクスは採用されていなかったという。バイオメトリクスは2001年のスーパーボウルでタンパ警察がスタジアム外でテストしたが、まだ未成熟と判断され、観衆にも不人気だった。

 今年のスーパーボウルでは、例年とは異なる宿泊施設が利用されたことで異例のセキュリティ対策も必要になった。ホテル不足から、5隻のクルーズ船が臨時の水上ホテルとして約3600室を提供。宿泊客は乗下船時にチェックを受けた。

数字で見る第39回スーパーボウルのセキュリティ対策

観衆:およそ8万人

対策費:1000万ドル以上

チェック方法:車両、バッグ、携帯電話のチェック、所持品検査、監視カメラ

禁止:スプレー缶、カメラケース、双眼鏡ケース、上空飛行

関係当局:国土安全保障省(DHS)、連邦捜査局(FBI)、中央情報局(CIA)、沿岸警備隊など

採用されなかった技術:バイオメトリクス

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