グループウェアはコラボレーションポータルへと向かう(1/2 ページ)

オープンスタンダードはグループウェアにどのような効果をもたらすのか? 日立製作所の船生氏にグループウェアや企業ポータルの市場動向、そして同社の取り組みを聞いた。

» 2005年02月17日 22時45分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 企業内の情報共有を図るグループウェアは、これまでソフトウェア単体での洗練さを追求する傾向にあった。しかし、最近ではオープンスタンダードに従ったアーキテクチャーを採用し、社内外のリソースとスムーズに連携することがひとつのテーマになっている。

 一方、2005年4月より施行予定の「個人情報の保護に関する法律」(以下、個人情報保護法)への対応を機会に、多くの企業、組織では分散したITシステムを、サーバコンソリデーションによって統合しながら、確固たるセキュリティ基盤を構築することを本格的に検討している。

 日立の「Groupmax Collaboration」は、こうした市場動向をふまえ、同社のコラボレイティブEビジネスプラットフォームCosminexus Version 6を基盤とし、高い接続性とセキュリティを確保しながら、高可用性を高めTCO削減を実現する。日立製作所 ソフトウェア事業部 第3ネットワークソフト設計部 主任技師の船生幸雄氏に、グループウェアや企業ポータルの市場動向と、これらの市場動向をふまえた同社のコラボレーションポータル製品「Groupmax Collaboration」での対応状況を聞いた。

ITシステム統合はグループウェア運用の追い風に

 グループウェアの利用シーンとしては、情報サービスを初め、公共、流通業界などにニーズが高まっている。また2005年は、2000年問題で導入されたシステムの見直し時期になり、大きな変動が予想されていると船生氏はコメントする。

 中規模以上のグループウェアには、企業ポータルと統合された「コラボレーションポータル」環境の実現が大きなテーマとなっており、さらには昨今の個人情報保護法案に関わるセキュリティ問題からもITシステムの統合(管理)も1つの課題といえる。ここで言う「コラボレーションポータル」とは、ポータル基盤を使ったコラボレーション製品のことであり、図1のような従来のグループウェア機能に加えて、場所、組織を超えて集まったメンバがそれぞれの経験、知恵、知識を共有しながら、協働作業を支援するツールである。

図1■グループウェアからコラボレーションポータルへの進化

 情報へのアクセス形態の多様化も運用面で大きな課題となっており、場所に関わらず情報アクセスを可能とするケータイやPDA、ノートPCなどからのアクセスも昨今では欠かせない。このため、複雑化するグループウェアを取り巻く環境を効率的に運用し、また、個人情報を扱う場合には、セキュリティ面について企業内情報ポリシー確立することを、十分に考慮しなければならない情勢となっているのだ。

 これらを背景に「効果的な運用環境の構築として、セキュアで柔軟なEIP(エンタープライズインフォメーションポータル)のニーズが高まっている」と船生氏は強調する。

 企業統合が当たり前となる現代、グループウェアにもオープンスタンダードなプロトコル実装が必然となっている。同社の「J2EE準拠のアプリケーションサーバCosminexusのような基盤を適用し、高い接続性を実現、そしてミッションクリティカルな機能を用いて企業内システムの一部としてグループウェアを構成できるということがますます必要になってきている」と船生氏。

Groupmax CollaborationではGUI及び操作性改善に注力

 Groupmax Collaborationのメリットは、クロスファンクショナルな業務の遂行がスムーズに行えるところにある。既存の組織構造に捉われないコミュニティを柔軟に編成し、企画立案や迅速な意思決定などをサポートする。このほか、Groupmax Collaborationのトータルコンセプトには、ユビキタス、グローバル(ブラウザ表示でメニューなどが英語表示対応など)があり、ワークスタイルの変革を図りなら、個人情報の保護や情報漏えいにも対応したセキュアな仕組みを全機能に適用している。

 このように日立が捉える「コラボレーションポータル」は、従来のグループウェア機能に加え、場所、組織の枠を超えてメンバが協調作業実現するためのコラボレーション基盤であり、図2に示すようなシステム全体像を念頭に設計、フロントとバックエンドシステムをポータル基盤で結びつけるハブ的な役割を担っていると船生氏は解説する。

図2■コラボレーション基盤システム全体像
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