LinuxWorld:Linuxへの移行拡大を推進するベンダー各社

Linuxは一般に言われているよりも簡単に導入、管理できる――今週ボストンで開催中のLinuxWorldでは、それらを実証するように各社からさまざまな製品が発表された(IDG)。

» 2005年02月17日 18時09分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Linuxは一般に言われているよりも簡単に導入、管理することができる――今週ボストンで開催中のLinuxWorldにおいてITベンダーの幹部らはこのように口をそろえた。

 Novellのジャック・メスマン会長兼CEOはキーノートスピーチで、「皆で協力して、Linuxを頑強に拒んでいる一部のユーザーに働きかけ、移行を促そう」と呼びかけた。

 メスマン氏によると、Linuxを検討している企業の幹部が不安に感じているのは、十分な技術サポートが受けられるのか、Linuxのセキュリティは本当に大丈夫なのか、容易に導入、管理できるのか、といった問題だという。ショウでスピーチを行ったメスマン氏らは、こういった懸念に対して楽観論で答えながらも、「企業でのLinuxの導入と運用を成功させる上でカギとなるのは、ほかのソフトウェアとの互換性である」と指摘した。

 LinuxWorldで発表を行ったベンダー各社もこういった懸念を払拭すべく、Linuxベースのネットワークの管理とセキュリティ維持に役立つ製品や、移行ツール、知的財産追跡ツールなどを披露あるいはリリースした。

 主な発表は以下の通り。

  • Linux/AIXに対応したAldonの「Application Lifecycle Manager 5.0」は、4〜6月期に世界各国でリリースされる。同社によると、このアップグレード版では、ソースコード、ソフトウェア開発作業、アプリケーション構成、コンポーネントを多層的に管理できるという。また、すべての主要な企業内開発/業務運用プラットフォームをサポートするほか、カスタマイズが可能で複数フェーズに対応したライフサイクルプロセス自動化機能なども提供する。価格は製品リリース時点で発表される。

  • BakBone Softwareのデータバックアップ/リストア用ソフトウェア「NetVault」では、「Red Hat Enterprise Linux」バージョン4がサポートされた。同製品の価格は明らかにされていない。

  • Black Duck Softwareは、同社の開発ソフトウェア「protexIP」に「Custom Code Prints」と呼ばれる機能を追加した。この機能はプロプライエタリ/商用ソースコードをサポートする。protexIPは、企業内の各部署および外部のパートナーやサプライヤーを通じてライセンス準拠状況を把握、管理するための製品。新機能が追加されたアップグレード版は既に入手可能となっている。価格は明らかにされていない。

  • CryptoCardは、認証ソフトウェアのアップグレード版「Crypto-Server 6.3」をプレビューした。「Red Hat Enterprise Linux 3」サーバおよび「Novell SUSE Linux Enterprise Server 9」に対応する。Crypto-Serverの新バージョンでは、トークン配布データベースの作成が容易になったほか、管理者は任意のコンピュータから任意のユーザーにソフトウェアトークンを簡単に配布できるようになったという。

  • Emic Networksの「Application Clustering」ソフトウェアでは、JSP/J2EEアプリケーションサーバがサポートされた。同社では、より柔軟な製品戦略を採用したとしている。Application Clusteringのアップデート版は既に出荷中で、価格は1595ドルから。

  • MySQLは「MySQL Network」をリリースした。この製品は、オープンソースデータベースのMySQLを現在利用していて、今後ほかのオープンソースソフトウェアを導入したいと考えている大規模なIT部門を対象とする。MySQL Networkは、全社的な実運用環境のサポートならびに自動更新/通知機能を備える。価格はデータベースサーバ1台につき年額595〜4995ドル(関連記事参照)

  • Palamidaは「IP Amplifier」バージョン3をリリースした。新バージョンでは、各社が開発したコードベースに基づいてサードパーティーのオープンソース/商用ソフトウェアのコンポーネントとライセンスを自動的に検査、管理し、レポートを生成する。このソフトウェアの目的は、ライセンス要件への準拠を確認することによって、開発の遅れ、監査問題、知的財産絡みの訴訟といったリスクを低減することにある。この製品は年会費方式でライセンスされる。

  • Parasoftは、Novell SUSE Linux Enterprise Server 9に対応したエラー検出ツール「Insure++ 7.0」をリリースした。価格は公表されていない。また「Jtest 6.0」のリリースも発表された。この製品はユニットテストと静的分析を自動的に実行し、500項目以上のJava開発規則に基づいてチェックを行う。開発者がベストプラクティスをJavaコードに織り込む作業を自動化するのが狙いだ。北米ユーザー向けのマシン固定ライセンス価格は、1ユーザーに付き3495ドルから。

  • Scalixは、自社の電子メール/予定表ソフトウェアのバージョン9.2を披露した。新バージョンにはブラウザベースの管理コンソールが搭載されたほか、サーバプロセス、メッセージングキュー、初期設定などを管理する機能が追加された。診断とインストール作業の手順を示してくれるインストールウィザードも新たに追加された。

  • SWsoftがリリースした「Virtuozzo 2.6.1 for Linux」では、インターネット経由で同ソフトウェアにアクセスできるWebベースの管理ツール、自動更新ユーティリティ、ファイアウォールとVPN(Virtual Private Network)のサポートの改善、ネットワークトラフィックレポートを提供するパワーパネルの改善といった機能強化が施された。価格は公表されていない。

  • Veritas Softwareは、IBMの「eServer xSeries」シリーズに自社のソフトウェアを搭載したLinuxバンドルを出荷する予定だ。Veritasによると、このパッケージにはクラスタリングおよびストレージ関連のソフトウェアも含まれるという。

  • Versoraは4〜6月期にLinuxデスクトップへの移行ツールをリリースする予定。この製品は「Progression Desktop」と呼ばれ、データ、ドキュメント、電子メール、ユーザー設定、音楽、画像などを自動的に移行する。OfficeからOpenOffice.org、およびOutlookからEvolutionとGroupWiseに設定を変換する機能も備える。

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