三共、SASの医薬品業界向けソリューション「SAS Drug Development」を採用

SAS Institute Japanは、製薬の三共が医薬品業界向けソリューション「SAS Drug Development(SDD)」を本格導入したと発表した。

» 2005年03月09日 20時17分 公開
[ITmedia]

 SAS Institute Japanは3月9日、製薬の三共が医薬品業界向けソリューション「SAS Drug Development(SDD)」を本格導入したと発表した。三共は非臨床試験のデータ解析を含む開発プロセスでのデータ解析にSDDを利用し、研究開発プロセスの短縮と、生産性の向上を目指す。

 三共は、より早く効率的に世界で提供する新薬を創出するため、日、米、欧の研究開発、市場導入に関わる各機能を統合することで、品目の適正な評価と明確な優先順位付けに基づく最適な業務プロセスを再構築しているという。

 一方で、2005年4月から開始される新医薬品などの承認申請書作成業務から、審査当局への電子申請に必要なeCTD(電子的コモン・テクニカル・ドキュメント)に対応するなど、非臨床、臨床の解析分野でも準備が必要とされていた。特に、非臨床におけるデータ解析については、信頼性が保証された解析環境にはなっていなかったとしている。

 同社は、一昨年から非臨床部門におけるeCTDに対応した解析環境の構築とともに、解析品質の向上とその期間短縮を行なうための新しいシステムの導入を検討していた。そして、SDDが同社の研究における必要条件に対応していることを評価し、2003年8月に第一期の導入にいたった。

 さらに、9月には、SDDを利用した非臨床解析システム構築の社内プロジェクトが発足、その後、GUI開発のバリデーション対応に当初の予定を上回る時間をかけ、2005年本格稼動に向けて社内体制の整備を進めた。結果として、SDDユーザーが大幅に追加され、全社的な取り組みとなったため、本格採用に踏み切ったとしている。

 具体的に、三共がSDDを評価したのは、コンプライアンスへの対応と、開発プロセスを簡素化するAPIの2つ。

 コンプライアンス対応では、eCTDに向けた準備を進めるにあたり、監査証跡や電子署名などを活用した電子的記録の信頼性確保が求められており、SDDはFDA(米国食品医薬品局)の21CFR Part11(医薬品の承認申請に関わる電子記録・電子署名に関する規制条例)に焦点を当てた機能開発を行っていたことが評価された。また、Javaのインターフェイスを採用しているため、ユーザー・ニーズにあったインターフェイスの構築が可能だった。

 なおSDDの本格採用は、日本国内では三共が最初という。SASは、今後日本の製薬企業の同部門に大きな課題を投げかけるとして期待しているという。

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