SUSE Linux Professional 9.3で知っておくべき3つのポイント

ノベルはコンシューマー向けLinuxディストリビューション「Novell SUSE LINUX Professional 9.3日本語版」を発表した。Xenを採用したほか、価格が大幅に下がっている。

» 2005年04月06日 21時41分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 ノベルは4月6日、同社のコンシューマー向けLinuxディストリビューションの最新版「Novell SUSE LINUX Professional 9.3日本語版」(SLP9.3)を発表した。4月26日から出荷される。

 SLP9.3の主なコンポーネントは、Linuxカーネル 2.6.11、GCC 3.3.5、glibc 2.3.4、X.Org 6.8.2。デスクトップ環境にはGNOME 2.10、KDE 3.4が用意されている。日本語入力環境にはSLP9.2と同様Wnn(バージョンは8)が収録されているほか、OpenOffice.org2.0プレリリース版やFirefox1.0.1、GIMP2.2なども収録される。

 ほぼ同じサイクルでリリースされているFedora Coreの最新版「Fedora Core 4 test1」(関連記事参照)と比べると、GCC 4.0が採用されていないことを除けば、主要なコンポーネントは最新のものが採用されている。

SLP9.3 SLP9.3上でOpenOffice.org2.0プレリリース版を起動しているところ(クリックで拡大)

SLP9.3、3つのポイント

 今回の特徴は大きく3点。オープンソースの仮想化ソフトウェア「Xen」の搭載、いくつかの新規収録ソフトウェア、価格の大幅な改訂だ。

 Xenは、複数のOSを同時に稼働可能な仮想化環境を提供するソフトウェア。EMCのVMWareなどとの大きな違いは、フルの仮想化ではなく、「準仮想化」のアプローチを取っている点。特別なカーネルが必要となるが、高い性能を発揮できる。Fedora Core 4 test1にもXenは収録されているが、管理ツール「YaST」からシステムイメージの作成などが可能となっているなど使い勝手がよくなっている。

 今回新規に収録されたソフトウェアで目立つのは、デスクトップ検索エンジン「Beagle」、Wikiライクなリンクシステムを持つメモツール「Tomboy」、画像ファイル管理編集ソフトウェア「F-Spot」、SIPに対応したインターネット電話を可能にする「Linphone」、Webブラウザソフトウェア「Opera」など(バージョンは7.54)。このうち、BeagleとTomboyは.Net Frameworkの互換実装であるMonoをベースとしたアプリケーションである。そのほかiPodのサポートも開始された。メニューなどの日本語化が不十分に思えたが、ノベルマーケティング本部プロダクトマーケティンググループプロダクトマネージャの古井洋司氏は、「最新のオープンソース・ソフトウェアに触れたいと願うユーザーは英語に対して抵抗が少ないと考えた。細かな部分の日本語化に時間をかけるより、早くリリースしたいと考えた」結果だと説明している。

 価格はオープンプライスだが、市場推定価格は1万2390円(税込み)となる見込み。SLP9.2と比べると8000円近い値下げとなった理由は、1200ページ以上の日本語マニュアル(2冊)が同こんされなくなったことが大きい。また、日本語版拡張CDには商用フォントが含まれないようだ。こうした変化についてノベルでは、「SLP9.2のころは紙のマニュアルも欠かせないと考えていたが、ヒアリングなどの結果PDFで提供することにした。これによって価格を下げることができ、いっそう普及を狙いたい」(古井氏)と説明している。SLPの次のバージョンは9.4ではなく、10となる予定。この大幅値下げでシェアを拡大できるだろうか。

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