トレンドマイクロは4月23日、同日午前7時30分ころに公開された同社ウイルス対策製品向けの「ウイルスパターンファイル 2.594.00」に問題があり、アップデートを行うとCPUの使用率が100%になり、PCの動作が極端に遅くなるトラブルが発生したことを明らかにした。
この問題が発生するのは、Windows XP Service Pack 2およびWindows Server 2003上で動作している「ウイルスバスター」「ウイルスバスター コーポレートエディション」「Trend Micro Client/Server Security」および「ServerProtect」の各製品。バージョン2.594.00のパターンファイルを適用するとCPUの負荷が高まり、動作が重くなったり、再起動を求められてもPCを起動できなくなるなどの障害が発生する。
トレンドマイクロでは23日11時ごろに、問題を修正した「ウイルスパターンファイル 2.596.00」を公開した。
同社によると、バージョン 2.596.00にアップデートできれば、動作が重くなるなどの問題は発生しないという。
しかし2.594.00を適用した結果、動作が遅くなり、再起動もままならない(つまりアップデートもできない)などの状態に陥った場合、Windowsを「セーフモード」で起動し、手動で当該パターンファイル(ファイル名は「LPT$VPN.594」)を削除する必要がある。その後、通常モードでPCを再起動し、手動でウイルスパターンファイル 2.596.00へのアップデートを行う。
LPT$VPN.594が存在する場所は、デフォルトでは以下のとおりだ。トレンドマイクロでは各製品ごとの対処法をまとめている。
製品名 | 「LPT$VPN.594」ファイルの存在する場所(デフォルト設定の場合) |
---|---|
ウイルスバスター2005 | C:\Program Files\Trend Micro\Virus Buster 2005 |
ウイルスバスター2004 | C:\Program Files\Trend Micro\Virus Buster 2004 |
ウイルスバスター コーポレートエディション 6.5 | C:\Program Files\Trend Micro\OfficeScan Client |
ウイルスバスター コーポレートエディション 5.58/5.5 | C:\Program Files\TrendMicro\Officescan Client |
ウイルスバスター コーポレートエディション 5.06/5.02 | C:\Program Files\Officescan NT |
Trend Micro Client/Server Security | C:\Program Files\TrendMicro |
ServerProtect Ver5 | C:\Program Files\Trend\Sprotect |
トレンドマイクロはまた、4月23日、24日の両日、この問題に関する電話での問い合わせを24時間体制で受け付けるという(個人向けの電話番号は03-5334-1441)。またウイルスバスターでの対処法については、Webサイトにまとめたほか、FAX BOX(03-5972-5746)や携帯電話向けサイト(http://tmqa.jp/)でも情報を提供する。
複数の報道によると、このパターンファイルによるトラブルが原因となり、朝日新聞社や共同通信社、JR東日本などの企業でPCに障害が発生し、業務に支障をきたしたという。
セキュリティ対策の「基本事項」の1つに、「ウイルス対策ソフトを導入し、常に最新のパターンファイルにアップデートすること」が挙げられる。だが今回のトラブルでは、このルールを徹底し、ウイルス対策に取り組んでいた企業で障害が起こる結果となった。本来PCを守るはずのパターンファイルが、かえってダメージを与えたことになる。
トレンドマイクロがパターンファイルの作成、配信において、どのような品質管理/検証プロセスを適用していたかについては、今のところコメントは得られていない。だが、ITが企業の業務や個人の生活に深く関わり、金融や物流といったインフラを支えている事実を踏まえると、ソフトウェアの品質はこれまで以上に厳しく問われなければならないだろう。
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