用語:ERP

» 2005年04月24日 23時55分 公開
[ITmedia]

 ERP:Enterprise Resource Planningの略。企業が行うさまざまな業務を、パッケージプログラムを利用してリアルタイムで統一的に管理するソフトウェア製品。会計や人事、販売、受注、物流、在庫管理などの各モジュール群で構成されるのが一般的。データを統一的に管理することが本質であるため、会計や人事などに特化した単体の業務アプリケーションをERPと呼ぶことは避けられることが多い。日本語では「統合基幹業務システム」などと訳される。

メリット

 全社でデータをリアルタイムかつ統一的に処理することによるビジネス効果が見込まれる。たとえば、自社製品を1000個受注した場合、その情報は在庫管理、会計、物流などの各システムでリアルタイムに共有される。そのため、在庫に不足が見込まれれば増産体制を敷いたり、納品日などの物流体制を最適化することができることで、迅速かつスムーズなビジネスプロセスを構築することができる。

 また、会計システムは、その販売効果を織り込んだ自社のリアルタイムの損益計算書や貸借対照表を作成できるため、経営者は現状を把握した上で次の戦略をすばやく立案することができる。

デメリット

 ライセンス費用などソフトウェアのコスト負担が大きい。また、現状のシステムから移行する場合には、ERP導入のための大規模な要件定義が発生し、既存の業務プロセスなどを大幅に変更しなくてはならない。ただし、ERP自体はいわゆるベストプラクティスという位置づけもあるため、ERPに自社のビジネスを合わせるべきという見方もある。だが、特に日本の製造業などは、受注業務のプロセスや生産指示の方法をはじめ、独自のビジネスルールを確立しているケースが多いため、海外のソフトウェアは日本に馴染まないとする意見も根強くある。

業界動向

 業界をリードするのは独SAP。2003年6月に米PeopleSoftが米J.D Edwardsを統合、さらに、そのPeopleSoftを買収した米Oracleが2位に続く。さらに、オランダのBaanを買収したSSA Globalが続くなど、業界再編の激しい波が押し寄せている。今後は、米Microsoftがどのような形で参入してくるかにも注目が集まる。

 日本企業では、企業全体に渡るシステムという厳密な意味でERPを提供している企業は少ないが、業務アプリケーションとしてさまざまな製品を出されている。最近では、人事向けのパッケージを提供するワークスアプリケーションズやGLOVIAなどもよく知られている。こうした業務アプリケーションは、外資系ソフトウェア企業の製品よりもコストが安く、さらに、日本企業が使いやすい仕様であることが多いため、より現実的な選択肢としてユーザーの目に止まることも多い。

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