ISVは、LSB支持を堅持 (1/2 ページ)

Linux Standard Base(LSB)は成熟し、これまで以上に実用的で有用な仕様に向けた船出への準備を整えた。ISVにとってのLSBの価値がどこにあるのかを考える。

» 2005年04月30日 23時54分 公開
[Jay-Lyman,japan.linux.com]

 Linux Standard Base(LSB)は大手Linuxディストリビューション・ベンダーの支持を固めただけでなく、最近、その形成を支援してきたISV(Independent Software Vendor)をFree Standards Group(FSG)に加え、そうしたISVからの強い支持をも獲得した。LSBは成熟し、今、これまで以上に実用的で有用な仕様に向けた船出への準備を整えた、と非営利団体FSGのエグゼクティブ・ディレクター、ジム。ゼムリン氏は述べている。

 昨年12月、同氏は、LSBに対する支持がLinuxオペレーティング・システムやLinux向けアプリケーションの大手ベンダーに広がっていると述べていた。今回、BakBone Software、IBM、Levanta、Lymeware、MySQL、Novell、Oracle、UGS、Veritasなどといった企業だけでなく、LSBへの支持を表明してきたBeijing Co-Create SoftwareやCovalentなどのISVがFSGに加わりLSB支持を明確にしたことについて、同氏は次のように述べた。

 「ISVの支持こそ、(LSBの)普及に必須のことであり、わたしたちが求めていたことです。LSBはLinuxプラットフォーム上で動作するアプリケーションのガイドラインであり、これに準拠することによりアプリケーションの実装が容易になると、ISVは今でも考えています。ISVは、Linuxプラットフォーム向けのアプリケーションを作成しやすくするための要件が何かを知っているものです」

 また、同氏は、FSGがArthur TydeをCTOに、Amanda McPhersonをマーケティング責任者に任命したことを特に指摘し、今回公表した支持拡大と併せて、LSBへの支持はさらに広がるだろうと述べた。

 そして、「この発表で重要なのは管理チームを発足させたという事実です」と述べ、LSBを支持する企業が画期的に多いことを指摘した。「今は、多数(のベンダー)にアクセスできるだけです。しかし、こうした業界のリーダーたちが率先して動くことによって、この業界にさらに広くアクセスしやすくなるのです。実際、期待通りに電子メールが来始めています」

アプリケーションを獲得するための大風呂敷を超えて

 同氏は、FSGおよびLSBにとって「機が熟した」と見て、今回の発表をしたのだと言う。

 「これは大風呂敷ではありません。発表するだけの意味があり価値があるから、発表しているのです」

 同氏は昨年5月からFSGを率いているが、FSGでの最初の仕事はLSB 2.0の公開と大手Linuxディストリビューション・ベンダー――Red Hat、HP、Novell、IBM、Mandrakesoft、Turbolinuxなどのほか、DellやIntelなどのハードウェア企業も含む――の支持の獲得だったという。そして、次の仕事は、LSB 2.0に準拠するISVのために、ランタイム環境、暗号化などのセキュリティ強化とXML、PerlやPythonのサポートを実現し、Linux向けアプリケーションを作成しているISVの要望に応えることだと同氏は言う。

 ISVがFSGに参加しLSBの支持を公式に表明したことを受けて、同氏は、次のハードルはLSBをできる限り実用的で有用なものにすることだと考えている。たとえば、数回クリックすれば済むような簡単なソフトウェア・コンポーネントのテスト環境、LSB準拠アプリケーションを構築するチュートリアルとオンラインWebセミナー、同様のカンファレンス用イベントの作成などを検討することになるだろうという。

 「鍵はLSBの実用性にあります。使いやすくすること。アプリケーションを容易に開発できるようにすること。検証の方法をディストリビューション・ベンダーが理解しやすくすること。すでに機は熟しており、使いやすさを目指す潮時なのです。わたしたちにとって、これは極めて大きな課題です」

 LSBがLinuxディストリビューション・ベンダーからもISVからも広い支持を得るまでになったのは、そのどちらもがLinuxの分裂を避けたいと考え、LSBの支持がどちらにとっても利益になるからだと同氏は言う。

 「Linuxディストリビューション・ベンダーもアプリケーション・ベンダーも、Linuxプラットフォームのアプリケーションを増やしたいのです」

 同氏は、LSBはオープン標準に基づく競争的ビジネスが存在し得る証拠だと考えており、LSBの支持によってディストリビューション・ベンダーもアプリケーション・ベンダーも顧客に対するオープン性の約束に貢献できるとも述べた。

 「LSBは、顧客を囲い込まないという約束の実現なのです。LSBは、特定サードパーティへの依存性をなくします。コード・レベルのオープン性では不十分であり、オープン・スタンダードこそが選択可能性をもたらします。それが、すべてのディストリビューション・ベンダーが実現したいと考える重要な約束なのです」

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