Keynote:日本の活力を取り戻すためにIBM Software World 2005開催(1/2 ページ)

IBM Software World 2005が開幕、基調講演では日本IBMの代表取締役会長で、社団法人経済同友会の代表幹事の北城恪太郎氏が日本の活力をいかに取り戻すかをテーマに講演した。(IBM Software World 2005)

» 2005年05月17日 22時02分 公開
[谷川 耕一,ITmedia]

 IBMのソフトウェア事業戦略の具現化の場となるIBM Software World 2005が、東京国際フォーラムで開催された。このイベントは、複数のソフトウェア・ブランドをもつIBMにとって、すべてを一同に介しその技術の方向性を示す場となっている。今回のイベントのキーワードは、EAとそれを実現するためのSOA。個々のソフトウェアを部品として強化するだけでなく、それぞれを連携させ顧客の要望に応え企業の新しい価値を生み出すソリューションを提供するという。

キーノートに立った北城恪太郎氏

日本が抱える課題解決は「変革」がキーワード

 財政赤字に人口減少、日本の抱えるさまざまな問題を解決するためには、民間企業の活力が必要だ。その活力を引き出すキーワードが「変革」。つねに変化する環境のなかで、コスト削減だけでなく、新しいことに挑戦し、成長を続ける。製造業で培った、ものづくりの精神やあくなき探究心を、企業の変革へ導くことができれば日本の未来が見えてくる。

数年後に深刻化する日本の課題

 750兆円という先進国でもずば抜けて巨額な財政赤字はさらに拡大し1000兆円に達するだろう、という深刻な話題から基調講演をはじめたのは日本IBMの代表取締役会長であり、最近では社団法人経済同友会の代表幹事としての活動が目立つ北城恪太郎氏。

 講演タイトルは「日本経済の課題と展望 ――日本にイノベーションをもたらすITとは」。冒頭で、日本という国が抱えているさまざま課題について述べた。

 財政赤字に加えてさらに深刻なのが、出生率低下にともなう人口の減少。「現状の出生率1.29がさらに低下し、2006年からは人口の減少が始まる。そして2100年には、人口が6410万人と半減してしまう」という予測が示され、このままでは、労働力が半減し現状の国力維持は大変困難となると指摘した。

 日本には、製造業という国際的な競争力の面での強みがある。米国の競争力を100としたときに、製造業で日本は120になるのだ。しかしながら、これに従事している就業者は全体の8%程度。さらに、サービス産業である第3次産業では61、農業などの第1次産業に至っては11しか国際競争力がない。これでは、少数の製造業がそのほかの産業を支えている状況であり、国全体としての成長は望みようがない。

 アジアのなかの日本に目を向けても、あまりいい材料がない。ダボス会議のアジア版ともいえるアジア円卓会議参加時のエピソードが披露されたが、ここ数年は中国一辺倒だったものの、最近注目を集めているのはインドとのこと。とくにITにおいては、中国とインドに関心が集まっている。

日本は共産主義国家?

 中国、インドは優秀な学生が大勢いて、中国では学生の勉強のしすぎで彼らの健康の心配がなされているほどだ。学力低下が指摘されている日本とは大きな違いがある。中国では都市部と農村部などの社会格差が問題になるのでは、という問いかけにも、格差がなくなっては人々にやる気がなくなり、「日本のような共産主義になってしまい、国の活力がなくなる」とジョークで返される始末とか。

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