ブラザー工業、アジアネットコムのネットワークサービスで拠点間をつなぐ

アジアネットコムは、ファクス、プリンタ、デジタル複合機などの情報通信機器を主力事業とするブラザー工業のアジア地域の生産拠点と日本をつなぐ

» 2005年06月02日 19時49分 公開
[ITmedia]

 アジアネットコムは6月2日、ファクス、プリンタ、デジタル複合機などの情報通信機器を主力事業とするブラザー工業のアジア地域の生産拠点と日本をつなぐWANの再構築にあたり、アジアネットコムのMPLSベースのIP-VPNサービス、専用線およびマネージドサービスによるネットワークサービスを提供することを明らかにした。

記者会見でブラザー工業へのサービス提供を明らかにしたアジアネットコム。左から日本法人のCOOを務めるリチャード・カーデン氏、ウイリアム・バーニーCOO、日本法人で取締役兼ネットワーク技術部長を務める石井秀雄氏。

 アジアネットコムは、中国における2大キャリアの1つとも言われるチャイナネットコム(CNC)の100%子会社。同社のIP-VPNは、MPLSベースのサービスで、アジアネットコムが自社で所有、運営する海底光ファイバーケーブルシステム(EAC)によって提供されている。EACは、アジア地域内でも有数のIPバックボーンで、総距離1万9500km、アジア地域内で13Gbps、全体では30Gbpsの帯域におよぶネットワーク。日本から、韓国、香港、台湾、フィリピン、シンガポールへと直結している。年内には、中国大陸(青島)への経路も完成予定。

 今回、顧客となったブラザー工業は、アジア地域での事業拡大とオンライン業務の拡大に伴い、日本と中国間に45Mbpsの専用線を導入する。世界各国で事業を展開している同社は、中国の複数の生産拠点を含むアジアを中心としたWANを再構築するにあたり、日本、中国、台湾、シンガポール、マレーシアなど、全6カ国12拠点をつなぐネットワークのインフラとして、アジアネットコムのMPLSベースのIP-VPNおよび専用線を採用した。

 ブラザー工業は、これまでも複数の回線事業者を利用して国際ネットワークを構築、運用していたという。生産業務の情報化や、アジア地域での事業拡大、また各地の生産拠点と日本の間でやり取りされる図面などのデータ容量の増大などから、ネットワークの増強が必要になっていた。

 特に、日本と中国の主要生産拠点の間では、急激なトラフィックの増加が見込まれることから、この度、新たに45Mbpsの専用線を導入し、ネットワークのさらなる増強を行った。

 ブラザー工業のIT戦略推進部担当の小池幸文取締役執行役員は、今回のネットワークの再構築について、「アジア地域のネットワークの増強にあたり、これまで利用していたキャリアでは、コスト面や運用面での負担が大きくなることから、新たなネットワークサービスを模索していた。特に、中国の複数の生産拠点でのネットワークの構築は、中国国内でのネットワーク構築がいまだに問題を抱えることが多い中、アジアネットコムとその親会社であるチャイナ・ネットコムとの強い連携により円滑に作業が進んだ」としている。

 同社は、今回のネットワーク増強によって、生産業務の情報化による社内の情報共有、大容量データの安定した交換を実現させた。さらに、在庫管理や商品開発、そして製造にいたるまでのすべての意思決定やプロセスが充実させたとしている。

 また、マネージド・サービスの採用は、社内リソースの削減にも寄与した。

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