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» 2005年06月07日 15時56分 公開

Blog情報共有の未来:Blogであるべき「形」へのこだわり――カレン (1/2)

特集「Blog情報共有の未来」。関連企業インタビューの第1弾は、日産自動車や東京三菱銀行へBlog導入を提案、運用までを担っているカレン。同社の試みは、マーケティング手法からのBlogを知るに相応しいものだ。

[聞き手:木田佳克、森川拓男,ITmedia]

 カレンは、ITを利用したセールス手法について提案、実現、運用などの取り組みを行っている。同社ではこれを「プレセールス・コミュニケーション」と呼び、さまざまな手法で見込み客を開拓し、営業チャネルへと結びつけるプロセスを得意としている企業だ。

 同社は、通販会社のコンサルティングからスタートし、1997年からインターネットに着目、Eメールを利用した販売促進手法「Eメールマーケティング」を開始した。現在では手法を更に拡大する傾向にあり、Eメール以外のさまざまなアイテムを増やしている。そのひとつがBlogであり、大手企業サイトへの導入事例からも効果が高いとの見解だ。カレンでBlog利用をリードする広報室長の四家正紀氏に方向性を聞いた。

EメールマーケティングからBlogへと注目したわけ

ITmedia カレンの取り組みにBlogがどのように入り込んだのでしょうか。

四家 まだカレンがEメール中心に販売促進の活動を行っていた時、Blogに出会いました。最初は、私の趣味程度に見ていたのですが、どうもこれはEメールに似ている側面があるな、と感じたのです。

 元々、企業のWebサイトは会社案内や商品カタログといった印刷物のメタファーから来ているため、正確性、客観性、網羅性、そしてある種の権威といったものがあります。しかし、それだけでは購買へとつながりづらいのも事実です。ここで注目したのが「人」の存在です。

 カレンがこれまで手がけてきたEメール手法は、営業が顧客のところへと出向き、商談するといったイメージで情報提供する側面を持っていました。この場合は、公式企業サイトでは表現しづらい「私」を出せるのがEメールの特徴です。同じような視点でBlogを見た時、まずBlogは個人の発信するツールであることからも「私」を表現しやすいこと。もうひとつは、RSSやpingという疑似的なプッシュの仕掛けがあることです。新たな記事投稿の際に、予め情報伝達の基盤が出来上がっていることにも魅力を感じたのです。通常、Webページでは、読者が訪問するのを待ち続けるわけですが、Blogはこちらから読んでくださいという姿勢を表現する仕組みを持つわけです。

 取り組みの象徴として、自社サイトをすべてをMovable Typeで構成しようと考えました。完成したのが2004年の3月であり、プレスリリース発表後にはメディア誌に掲載されたのですが、サイトリニューアルが記事になるなど珍しいという感想でした。次なる展開としては、私が宣伝塔になって「Blogが流行ってきました、ビジネスでも使えるのです」と言い回ることでした。それが2004年6月末の講演後、7月には「アエラ」で取り上げられた頃ですね。

 ほぼ同時期には、日産自動車、味の素、エスティ ローダー グループ オブ カンパニーズの3社から案件をいただき、具体的なBlog利用サイトをスタートさせたわけです。そこで、「ブログマーケティング」への取り組みについてのリリースを9月末に発表しました。このような経緯で、Eメールを利用した販促中心だったカレンがBlog利用にも乗り出していったのです。

BlogらしいBlogを形成すべき理由

ITmedia Blogを導入した企業からの反応は?

四家 非常に好評です。Blog自体が珍しいという側面もありますが、明らかに売り上げに結びついている感触を聞いています。ただし、企業はBlogだけを販促として取り組んでいるわけではなく、テレビCMなども同時展開していることが多いわけです。その中で機能していることも注意しなければならないポイントです。

 また、多くの企業では見込み客としてメールマガジンの会員をできるだけ多く囲い込むことが効率的な販促につながると考えていました。しかし、一様な情報を送りつけるだけでは、その効果は限定的なものにもなります。繰り返し定期的に配信できることがメールマガジンの価値ですが、メールは本来ターゲットを絞った上で配信することが可能なはずのツールだからです。これに対してBlogは、例えばRSSの提供や、高い頻度での更新により、繰り返し読者が訪れる効果が見い出せます。この側面は、メールマガジンによるアプローチと似ています。

 またコメントやトラックバックにしても、繰り返しアクセスしてもらうための仕組みのひとつと考えられます。自分のつけたコメントのレスや、新しいトラックバックがついていないかなと、つい見に来てしまうわけです。

 定期的に繰り返しアクセスを集められるのであれば、Blogを更新し続ければメールマガジンの機能はある程度代替できるかもしれません。そうなると、メールマガジンの会員は、いままでよりも少なくても済むのではないだろうか? 法律による規制強化の影響もあり、個人情報を管理するコストが上昇することを考えると、メルマガによる囲い込みのためにむやみとメールアドレスを集めるのは、一概に正しいとは言えなくなりつつあります。

 こうした状況の中で、定期的、継続的に情報が発信されるツールとして多くの人にBlogが認知されつつあるのは、注目すべきことだと思います。

ITmedia 形として、Blogというものが認知されていることが大きいということですね。

四家 たとえばEメールマーケティングがなぜ成功したかというと、個人発信のメディアとしてメールマガジンの文化が広まったおかげです。例えば実は何万通も同報している企業からのメール配信でも「カレンの四家です」と個人を前面に出して親近感を獲得していくことができるようになりました。

 Blogマーケティングも同じであり、個人が自己表現のためにメディアを持てるようになったことが大きく、その文化に企業が入り込む余地が出来たのではないかなと思うのです。そのため、現在のところは企業の中の人を身近に感じられるBlogらしいBlogを作るということが非常に重要かなと思います。最近ではFlashを載せるようなBlogにも興味深いものがありますが、基本はBlogらしい親近感が効果的だと考えていますね。

Webの方向性、Blogの果たした功績

ITmedia Webの歴史的な観点から企業がホームページを持つことがトレンドと言っていた頃と、Blogにも同じようなノリを感じますが。

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