Microsoftのマグリア氏――「エッジを統合する」(1/2 ページ)

MSのHPC市場参入に関して、同社幹部のボブ・マグリア氏がその動機や市場目標、さらにはエッジ統合に標的をすえた次世代OS、Longhornの提供する機能についても言及した。

» 2005年06月13日 16時25分 公開
[IDG Japan]
IDG

 MicrosoftのWindows Server部門のボブ・マグリア上級副社長は先週、サーバOSと関連製品に関する同社の長期ビジョンを明らかにした。さらに同氏は、Microsoftのハイパフォーマンスコンピューティング計画、ならびに「エッジ(ネットワークの境界部)の統合」に向けた同社のビジョンについても説明した。

―― Microsoftでは、来年下半期にWindows Server 2003のCompute Cluster Editionをリリースする予定だとしています。なぜこの市場に参入したいのですか?

マグリア その時期が来たからです。この分野は急速に拡大しています。サーバビジネスで最も成長著しい分野の1つです。

―― 最も関心があるのはどの垂直市場ですか?

マグリア 医薬、石油・ガス、金融、エンジニアリングなどの分野です。これらの分野はサーバビジネス全体の約7%を占めます。

―― それだけで十分ですか?

マグリア はい。これだけで40万〜50万台の市場規模になります。これはかなり大きな数字です。これらの分野では当社は競争相手に大きく引き離されています。また、歴史的に学術機関や政府向けの機能が中心だったという意味でも、変化しつつある分野です。

 今後は、4台、8台、16台あるいは32台程度の小規模なクラスタシステムへの移行が進むでしょう。デュアルプロセッサの4クラスタシステムでも驚異的なコンピューティングパワーを実現します。文字通り、科学者たちはほんの2年前のスーパーコンピュータよりも強力なコンピューティングパワーを机の下に置くことが可能になるのです。こういった分野では、人々の仕事のやり方を変えることができます。モデルを作成して、不備がないか確認した上で、大規模な計算センターにそれを提出し、結果が返ってくるまで2〜3日待つのではなく、いきなりプログラムを実行すればいいのです。2〜3分で実行できるので、何度も何度も実行して修正することができます。これは、上で述べた業界に大きな機会を提供します。

―― Compute Cluster Editionではボリューム出荷を期待できますか?

マグリア はい。当社は現在、コンピューティングクラスタ分野で約5%のシェアを持っています。この分野が年間50万台の市場であることを考えれば、当社にとってはプラス面しかありません。

―― このOSは、Windows Server 2003のほかのバージョンとどう違うのですか?

マグリア 同じOSですが、2つの違いがあります。第一に、多くの機能が省略されています。これは競争力のある価格設定にするためです。実際、OSそのものの価格は、Standard Editionよりも低く設定されます。

 それから、OS上で実行する必要がある多数のサービスがあります。バッチスケジューラや複数のコンピュータをハイパフォーマンスコネクションに接続する機能などです。今日、Linux分野でも、ユーザーはこれらの機能をベンダーから購入し、かなりの金額をそれに支払っています。

 Linuxベースのソリューションとの比較で言えば、われわれは非常に競争力のある製品を提供することになるでしょう。また、われわれは両方を開発しています。つまりOSの機能縮小版を開発する一方で、コンピューティングクラスタに必要な追加的サービスも開発しています。われわれがやりたいのは、包括的なソリューションセットを顧客に提供することです。

―― これらのサービスはOSとは別個のSKU(在庫保管単位)になるのですか?

マグリア 別個のSKUとして提供されます。また、利便性を考えてOSとサービスをセットにした形でも提供することになるでしょう。

―― これらのサービスはCompute Cluster Editionだけでなく、任意のバージョンのWindows上で動作するのでしょうか?

マグリア StandardとEnterpriseバージョンでも動作します。

エッジ統合にはインフラの移行だけでも最低10年かかる

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