今回は、ここまでの連載のまとめとして、64ビット対応アプリケーション開発者向け参考リンクなどを紹介する。
アプリケーションの64ビット化は、使用可能なメモリ幅を大きく拡張してより膨大な量のデータを一度に扱うことができるようになるというメリットがあります。しかし、今すぐに、何でもかんでも64ビット化すればよいかというと、必ずしもそうとはいいきれません。
アプリケーションを64ビット化するにあたって、重要なのは「計画性」です。まず、本当にそのアプリケーションを64ビット化する必要があるのかどうか、というところから検討することが重要です。
すべてのアプリケーションが64ビット対応になれば、アーキテクチャ的にも美しいかもしれません。しかし、開発コストや新しいシステムの維持、古いシステムとの共存およびメンテナンスの問題といったことなど、トータル面でのバランスも考えていかなければなりません。
とはいえ、PCの64ビット化は遅かれ早かれ必ずやってくるはずです。今すぐに64ビットへ移行しないまでも、将来、過去(32ビットに縛られた世界)に取り残されてしまわないよう、今のうちから「64ビット」の知識をできるだけ身につけておいて、いつでもそれを受け入れられる体制を整えておくことが大切なのではないでしょうか。
最後に、64ビットアプリケーションの開発に必要なコンパイラやドキュメントのURLを表にまとめましたので参考にしてください(Table14)。まだまだ英語のサイトやドキュメントが中心ですが、日本語の説明も少しずつ増えてきています。
内容 | URL |
---|---|
Intel C/C++ Compiler for Windows | Windows版インテル C++ コンパイラ 9.0 |
Intel C/C++ Compiler for Linux | Linux版インテル C++ コンパイラ 9.0 |
Microsoft 64-bit C/C++ Optimizing Compiler | MSDN Home Page |
PGI Compiler | HPC用ソフトウェア・ミドルウェア製品 |
GNU C/C++ Compiler | GCC Home Page |
Sun Studio8(High Performance Compiler) | アプリケーション開発環境 |
Microsoft MSDN Library | MSDN Home Page |
Microsoft Platform SDK | Platform SDK: Introduction |
Microsoft Windows DDK | Windows Driver Development Kit: Overviewインテル・ハードウェア設計 |
Intelデベロッパー向けサイト | Intel Software Network |
AMDデベロッパー向けサイト | AMD DevCentral |
Apple Developer Connection | Apple Developer Connection |
Table14 64ビット対応C/C++コンパイラ、デベロップメントキットおよび公式ドキュメント |
◇免責
本記事で紹介している技術、プログラムによって生じたいかなる損害も補償いたしません。ご要望、ご質問などにはできるだけ対処していくつもりですが、必ずしもそれがC MAGAZINE編集部または筆者の責任においてなされるという保証はありません。
本記事で紹介したサイトのURLや名称等は将来変更される可能性があります。
◇参考資料
Cマガ15th 15年の歩み
15年前、PC-8801や9801、X68000といった機種が主流で、私もそれらに興味を持っていました。当時学生だった私に高額なPCを購入する余裕はなく、学校帰りに近くの電気店へかよってゲームをしたりプログラムを組んで遊んだりしていました。そのころはPC-DOSの互換OSなんかを作っていました。
最初にC MAGAZINEの記事にかかわったのは今から5年ほど前、MP3特集からです。SCMPXというソフトを公開していた私に編集部の方がお声をかけてくださったことがきっかけでした。今、私はエンジニアという肩書きで仕事をしています。この15年でPCのテクノロジは飛躍的な発展を遂げました。8、16ビットから32ビットを通り越し、今や64ビットの領域へ入りつつあります。この先も確実に進化するであろうテクノロジの一歩先を常に見続けられるよう、日々プログラミングにそして執筆活動に取り組んでいきたいと考えています。
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