C MAGAZINE 2005年6月号より転載
パーソナルコンピュータは、これまで4ビットから8ビット、16ビットを経て32ビットへと進化を続けてきました。そして今、まさに64ビットの時代へ踏み込みつつあります。これまでパーソナルコンピュータで処理できるビット数が増すたびに、私たちは大きな恩恵を受けることができました。しかし、それと同時に、ハードウェアやソフトウェアに関して何らかの弊害も少なからず起きていました。
そういった過去の経験も踏まえて、32ビットから64ビットへの進化に伴う弊害を最小限に抑えるべく、プロセッサ開発メーカーは、さまざまな技術を試行錯誤しています。x64はその代表ともいえる技術でしょう。
本稿では、x64の革新的な技術が32ビットインテルアーキテクチャに慣れた私たちにどのような効果をもたらすのか、またコードはどのように変化するのかなど、ソフトウェア開発者の視点から見た変化の詳細を解説します。なお、64ビットプログラミングへの基本的な取り組み方などについては、本誌2004年10月号の特集3「64ビットプログラミング」および「64ビットアプリケーション開発の手引き」をご覧ください。
「x64」とは32ビットアーキテクチャ(IA-32)を64ビットに拡張したアーキテクチャ、およびそれと互換性のある技術の総称です。
インテルは自社アーキテクチャを「EM64T(Intel Extended Memory 64 Technology)」と呼び、AMD(Advanced Micro Devices, Inc.)は「AMD64 ISA」と呼んでいます。2005年5月現在でx64対応のプロセッサを開発しているのはこの2社になります。
x64の設計は、既存の32ビットアーキテクチャの進化の延長線上にあり、x64は次世代コンピューティングへの壁を取り除くとともに、過去の資産を生かす方法を提供しています。
すなわち、x64は、新しい64ビットのソリューションを導入できるようにすると同時に、既存の32ビットのソリューションに対して行われてきたこれまでの投資もムダにしなくて済むようにするという、非常に優れた理念から誕生した新しいタイプのテクノロジです。
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