ゲージ氏からJavaアプリをJVMごと仮想化するというユニークな試みが2005 JavaOneで披露された。ゴスリング氏からは、Javaアプリ事例として海洋水質調査、そしてボーイングが注目したリアルタイムJava(RTSJ)について触れた。
Javaの10周年を祝う「2005 JavaOne Conference」の開催4日目(米国時間、30日)。基調講演では、Sun Microsystemsのカリスマテクノロジーリーダー、ジョン・ゲージ氏が登壇して幕を開けた。
最初に会場を沸かせたのは、JVM(Java Virtual Machine)を仮想化し、ネットワークを介してコンピュータ間でJavaアプリケーションを行き来させるというもの。研究開発段階であるものの、オープンソースとして公開する予定があるという。今カンファレンスでは可能性を示すものとして披露し、会場のデベロッパーの興味を引いた。
ゲージ氏はデモで、ネットワークを介したWindowsとMacOS Xをスクリーンに映し出し、自由にJavaアプリケーション(仮想JVM環境)を移動させてみせた(開発環境は、NetBeans 4.1)。この効果によってバーチャルメモリー環境ごとのデリバリーを実現とし、エンタープライズ用途では例えばディザスタ、そしてGlidとはレイヤーが異なるものの、似たような側面を持たせることが可能となる。
さらにユニークなものは、Sun Labs'で研究開発中という「Sun Lab's Sun SPOT」と呼ばれる機器。ゲージ氏は、無線でやり取りすることを想定し、「こうしてJavaアプリはこっちに移動し……、再びこっちに戻してみる」などと、仮想化JVMの可能性を笑い混じりに語った。
続いてゴスリング氏が登壇。まず最初に語られたのは、現在取り組んでいるJavaの方向性に関わるものについてだ。
「パフォーマンス向上や複雑性の回避、負荷への対処、デスクトップの高度な試みを行う。また、ユーザーインタフェースについても注目している。これまではレイアウトが絶対的なものだった。次期NetBeansではローカライズによるウィンドウサイズ追従にも対応、ボーダー配置管理などにも配慮していく」とゴスリング氏。
グラフィカルなGUIコンポーネントを提供するSwing。その開発担当者が壇上に招かれ、NetBeans 4.1上でデモを行った。NetBeans 4.1ではSwingと協調し、UIコンポーネントをインテグレートすることで拡張を行っているという。デモアプリケーションは、iTunesライクな音楽プレーヤーの例が示された。
次に紹介された事例は、2005 DUKE'S CHOICE AWARDSを受賞した「NetBEAMS」(Agilent Technologies)。java.net上でプロジェクト展開されているこのシステムは、サンフランシスコ沖の海洋水質管理をしているモニタリングアプリケーションだという。デモのために関係者が壇上に招かれた。
モニターすることで何を目的としているのか? という問いに、環境変化における水質調査が目的と言い、最近ではサーモンの漁獲量が減ってきているなど、水質をモニタリングする必要性を指摘した。また、Javaアプリケーションとしての構築理由の1つとして、従来は不可能だったというブラウザ上でのリアルタイム表示の観測形態を挙げた。
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