これでわかる知的財産権の法律と規制(2/2 ページ)

» 2005年07月19日 16時10分 公開
[Ryan-Paul,IT Manager's Journal]
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 公正使用の域を超える使用が必要な場合は、コンテンツの使用許可または商用ライセンスをいつでも打診できる。丁重かつ外交的に振舞うことが重要だ。使用したいもの、使用したい範囲、使用したい状況をはっきりと説明できれば、コンテンツを無償で使用することが許可される可能性は大きくなる。コンテンツの作成者は歩み寄りの用意があるかもしれないし、条件を追加することを望む可能性もある。コンテンツの作成者が、要望された作品より目的に合う別の作品を提案することもありうる。コンテンツの作成者と契約するツテがない場合は、Copyright Clearance Center(CCC)で調べる手もある。CCCのWebシステムでは、著作権で保護される膨大な数の発表物の使用が、使用回数単位の課金制度により許可される。

 仕事を充実させるためのコンテンツを探す場合、わたしは最初にパブリック・ドメインの領域にコンテンツを探す。パブリック・ドメインのコンテンツは、著作権法の保護下になく、実質的にどのような目的にも使用できる。作品がパプリック・ドメインにあるかどうかを簡単に確認できないこともある。長年の間に法律の改正が数え切れないほど繰り返されているからだ。

 1923年より前に発表された作品は、現在はすべてパブリック・ドメインに含まれる。1923〜79年に発行された作品は、著作権表示が書かれている場合に発表日から95年間保護される。ただし、1923〜64年に発表された作品に関しては、著作権所有者が著作権を更新していない場合、28年しか保護されない。1978年より後に発表された作品は、作品が発表されたかどうかに関係なく、コンテンツの製作者が死亡した日から70年間保護される。1979年より前に作成された未発表の作品は、現在はパブリック・ドメインに含まれる。

 現在では、作品が発表されていたり、なんらかの著作権記号が付けられていることは必須ではなく、1978年より後に作成されたすべての作品が著作権法の保護下にあることに注意する必要がある。

 頭はまだ爆発していないだろうか?

 幸いなことに、著名な法律家Laura Gasawayが、このような不明瞭な規定を読みやすいにまとめてくれているので、これを見ると事情ははるかに単純になるはずだ。

 パブリック・ドメインであることがわかっているコンテンツを探すために参照できる場所が、いくつかある。一番有名なのは、Project Gutenberg Webサイトだ。このサイトでは、幅広い分野に及ぶパブリック・ドメインの文学書を各種の形式でダウンロードできるほか、パブリック・ドメインの楽譜、同組織のRadio Gutenbergサービスによるオーディオ電子ブックも入手できる。

 また、さまざまなオープンソース・ライセンスの下に使用が認められるコンテンツも、膨大な量が存在する。このようなオープンソース・ライセンス(「コピーレフト」ライセンスとも呼ばれる)の下にリリースされるコンテンツは、無断で自分の作品に組み入れることができる(ただし、その作品を互換性のあるライセンスの下にリリースすることが条件となる)。

 オープンソース・ライセンスについては、Creative Commonsサイトに詳しい解説がある。このサイトには、必要なライセンスの条件に合致するコンテンツをすばやく見つけるのに役立つ検索エンジンが用意されている。研究用の素材が必要な場合は、Wikipediaが素晴らしい情報源である。Wikipediaは、GNU Free Documentation License下での利用が認められる巨大なデジタル百科事典だ。Wikimedia Commonsは、3万6000を超えるコピーレフトのメディア・ファイルがさまざまな形式で含まれるコンテンツ・リポジトリである。コピーレフトのコード・ブロックを探す場合には、SourceForgeまたはKodersで検索を実行する。

 知的財産権と公正使用について、Rosenlaw&Einschlagの弁護士であり、『Open Source Licensing: Software Freedom and Intellectual Property Law』の著者であるローレンス・ローゼン(Lawerence Rosen)氏と意見を交わした。彼の見解では、コンテンツの特定の部分がパブリック・ドメインにあるかどうかを見分けるために多くの要素を計算に入れなければならないことから来る混乱が、著作権法の最も手ごわくてややこしい側面である。1999年、彼は著作権法の多くの側面(パブリック・ドメインの判定を含む)をわかりやすくまとめた論文を発表した。そこには、"Bits of History Project"に関連する法的な問題点が詳しく書かれている。

 ローゼン氏は、公正使用を守るという文脈における「公正」の法的な意味と「口語的な意味」との矛盾から大きな混乱が生まれていると考える。このテーマは、「なぜ公正使用は常に公正であるとは限らないか」について解説する記事で論じられている。

 また、公正使用は権利侵害に対する防御であることを彼は強調する。権利侵害行為に加担した場合について、彼はこう書いている。「自分を守るために主張できることが2つあります。1つは、ライセンスを持っている、という主張。もう1つは、権利侵害は公正使用である、つまり『確かに侵害しました。作品のコピーまたは派生物を作りましたが、それは公正使用の原則の要件を満たすためでした』という主張です。ですから、公正使用は権利侵害への防御なのです」。

詳細な参考資料

 個人の公正使用に関する具体的な判例については、Indiana大学でまとめられた便利なリストを参照するか、FindLaw.comの判例摘要を検索するとよい。コンテンツ消費者の権利については、Chilling Effects ClearinghouseサイトElectronic Frontier Foundationの Intellectual Property Law Sectionが詳しい。著作権全般については、ローゼン氏の発表物U.S. Copyright Officeサイトを参照することをお勧めする。

Ryan Paulは、カリフォルニア州Oak Park在住のフリーランスのライターである。

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