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» 2005年07月19日 16時10分 公開

これでわかる知的財産権の法律と規制 (1/2)

知的財産権法は、論争と矛盾の不可解な塊だ。訴訟に怯えることなくコンテンツを利用し、共有できるように、著作権法についてよく知ることが必要である。

[Ryan-Paul,IT Manager's Journal]

 アメリカの文豪マーク・トゥエインは、かつてこう書いた。「神に不可能なことが1つだけある。それは、地球上の著作権法に意味を見出すことだ」。トゥエインの批評には確固たる根拠がある。新しい発想を刺激するために、政治家たちは「知的財産権(Intellectual property)」[日本語版]と呼ばれる法律的な混迷の紛れもない地雷原を作り出してしまった。

 知的財産権法は、論争と矛盾の不可解な塊だ。このところの多くの判決により、政府がコンテンツの製作者に知的財産権を与えることは誰もが知るようになったが、コンテンツの消費者の権利を保護するための条項も著作権法に数多く含まれていることはほとんど知られていない。訴訟に怯えることなくコンテンツを利用し、共有できるように、著作権法についてよく知ることが必要である。

 今日のアメリカで知られる著作権という概念は、主にベルヌ条約(Berne Convention for the Protection of Literary and Artistic Works)、1952年に制定されたUNESCOの万国著作権条約(Universal Copyright Convention)、1976年に制定された米国著作権法(United States Copyright Act of 1976)を基にしている。その後も多くの改正が重ねられてきた。議論の的であるデジタル・ミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act of 1998)は、米国著作権法に加えられた最新の大きな改正であり、著作権侵害を助長する技術を禁じる法律である。

 米国著作権法第106条の定めによると、米国民は、自身が著作権を保有する作品からの派生物を再現、実演、展示、デジタルによる記録、営利目的での配布、作成を行う排他的な権利を持つ。このような権利は、著作権所有者の同意により第三者に与えることができる。米国著作権法には、公正使用の原則(fair use doctrine)も明記されている。公正使用の原則とは、権利侵害に問われないための複数のガイドラインが不明瞭に集められたものである。第107条には、公正使用の原則について次のように書かれている。「(保護された作品を)批評、論評、ニュース報道、教育(学級で使用するためにコピーを複数作成することを含む)、学問、または研究を目的として使用することは著作権の侵害に当たらない」。どういったケースが公正使用なのかを判断するには、その使用目的、作品の性質、使用する作品の量、使用する部分が作品全体に占める実質性、保護される作品の市場価値に対する影響度を考慮する必要がある。

 保護される作品の一部を論説、論評または批評を目的として単純に引用する場合は、引用が作品の実質にどの程度近いかにもよるが、高い確率で公正使用の範疇に入る。1985年、出版社Harper&Rowは、フォード大統領の回顧録から約300語を引用したThe Nation誌を訴え、勝訴した。この訴訟に関して、最高裁判所は、引用部分が「書籍の核心部分」であり、引用の実質性が公正使用と言えないほど大きいという理由でHarper&Rowの訴えを認めた。

 多くの場合、コンテンツ消費者が何を意図するかが、判決に多大な影響を与える。保護された作品を営利目的に使用することは、営利ではない目的に使用する場合と比べて公正使用と認められない可能性が高い。作品を丸ごと複製する使用方法は、まず間違いなく公正使用とは認められない。目的を達するのに必要な量だけ使用するのが、分別のあるコンテンツ消費者の行いである。画像のサムネールは、実際の画像が合法的に表示されているWebサイトへのリンクを表すのであれば、一般に公正使用と見なされる。2000年3月、連邦判事ハリー・ハップ(Harry Hupp)氏は、保護されるコンテンツへのリンクは公正使用であるとの判断を示し、ハイパーリンクを図書館の書籍目録になぞらえた。他人のコンテンツを使用するときは、自分がコンテンツを使用することがどのような営利的な意味を持つのか考えてみる必要がある。抜粋したり脚色したりすることによって、作品の商品価値が著しく損なわれないか。第107条に定められた規定と過去の判決で確立された先例に照らし合わせ、公正であると裁判官に証明できるだろうか。コピー行為が権利侵害と見なされるかどうかを判断する最上の方法は、似たような判例を調べてみることだ。この記事の最後にある「詳細な参考資料」に、さまざまな判例の詳細が書かれているWebサイトへのリンクを紹介した。

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