20XX年、ユビキタスが生活圏に根ざす映像のuVALUEuVALUEコンベンション2005

21日に開催のHITACHI uVALUEコンベンション2005で日立は、価値創造の具体化を6つのシーンで再現。100近いセミナーの中の1つ、映像ソリューションについてリポートしよう。

» 2005年07月22日 02時16分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 空間をIT化する。

 ユビキタス実現に課せられているものの1つとし、IT化が成熟したオフィスとは異なる、比較的設置場所が確保しづらい機器(ICタグなど)導入がある。

 RFID(ミューチップ)によって生活に根付いた物体を識別、そして情報整理を実現する。これまでのユビキタス動向では、このような目的に対し流通業を中心として「RFIDこそがデファクトか?」という情勢がある。

 しかし自動識別そのものが焦点となるRFIDを包括し、ユビキタスではスマートダストのような広範囲なものまで含まれるだろう。日立でも例外なく開発の多面化を行っており、製品や物体にICタグ類を付けずレーザーによる物体把握を行う試みをHITACHI uVALUEコンベンション2005で披露した(別記事でリポート予定)。

 現段階でも業界内にいくつかの試みがあるが、流通系での場合、機器に付加させるため、または配布するための単価コストにもあるようだ。ユビキタス形態で特色なのは、不特定多数の物体を自動識別する想定が多いこと。このためには、ある程度の割合いで取り付ける(識別させる)必要がある。生産側の見解であれば数量によって低コスト化が見込まれ、利用者からは真価が不明瞭なため導入へと踏み切れないという意見も多い。

 これらに対する日立の回答は、カンファレンスやサイト上で生活に根付く現実的な解を示し、価値創造のオープン化で底上げしていくことだ。


 日立は、情報・通信事業のコンセプト「uVALUE」を掲げたカンファレンス「HITACHI uVALUEコンベンション2005」を7月20〜21日に開催。この中で同社は、映像と記録によって実現する生活圏の未来像などを示した。2日間で100近くにも及んだセミナーの中からクローズアップし、生活の場にIT機器を導入し情報配信を行うテーマをリポートした。

 同社ではこれらを「映像コミュニケーション・ソリューション」と呼んでいる。このソリューションでは、遠隔サービスのサポート、そして表示や監視までのプロセスを含めた「ライフサイクルサポート」も担えることが強みだという。

 講演を行ったのはユビキタスプラットフォームグループ/ソリューション統括本部、開発部部長の田中圭一郎氏。田中氏は冒頭で「社会のIT化ステージ」の移り変わりについて触れ、これまでの企業主体のIT化からダウンサイジング化を経て、今後は生活圏のIT化が大きな課題になることを示した。

IT化は今後生活に根付き人々を豊かにしていくもの、と日立製作所、ユビキタスプラットフォームグループ/ソリューション統括本部、開発部部長の田中圭一郎氏

 特に映像ソリューションに特化されたセミナー内容からは、代表する出力製品として55インチのプラズマディスプレイ(CMP5500WXJ)を始め「LCOS方式リアプロジェクター」(70インチ:ES70-116CM、50インチ:ES50-116CM)が強調された。LCOS方式リアプロジェクターの特徴は、SVGA+と称す1400×1050ドットの解像度表示が可能なこと。そして、反射型液晶LCOS(Liquid Crystal On Silicon)方式を採用することで高精細な表示が可能な点だ(関連リンク)。最大で70インチのモデルを用意し、問われることが多い液晶パネルの長寿命化も図られている。コントラス比は1300:1。

 利用シーンについて田中氏は、企業の会議室や公共施設であれば空港、駅など、そして金融、福祉、市役所などを想定しているという。さらに配信するコンテンツや用途も考慮し、最適なディスプレイを選出提供できるコンサルサービスも用意していることを強調した。

映像コンテンツ配信はリアルタイムの時代へ

 映像コンテンツの傾向として田中氏から挙げられたのは、リアルタイムの提供が重視されていること。同社の映像配信システム「MediaSpace」(関連リンク)サービスでは、配信サーバを日立が担うプランもあり、稼働監視、コンテンツ作成までも委託することができる。このため、漠然としたイメージであっても映像として具体化し、各地の拠点にリアルタイム配信することが可能だという。

 これまではビデオカセットなどのテープメディアを店舗に持ち込むという形態が一般的だった。今後はネットワークを介した配信に切り替え、多店舗などにいっせい配信が可能になるため、情報の地域差を無くすことも付加価値にとして重視すべき点だという。また、スケジュール監視などの付加機能も提供され、配信時期も自由にコントロールすることができる。

モニタリングには広角で高解像度、高照度がニーズ

 続いてモニタリングソリューションとして紹介されたのは、主に防犯用として利用されているもの。ボックスとドーム型のカメラを紹介し(関連記事)、最新モデルで撮像エリアの拡大、光学系でF0.95の明るさを誇り、比較的光量が少ない場所でも監視可能となっている(ボックス型:VK-C556、ドーム型:VK-C879)。また、高画質化を図るものとしてプログレッシブCCDセンサーの採用も強調され、ダイナミックレンジの向上が入力系強化点として挙げられた。

 映像記録のためには、各種デジタルビデオレコーダー(DS-F/DS-Gシリーズなど)を用意している。80G〜500GBまでのディスク内蔵モデルが選択可能であり、外付けディスク拡張モデルも選択ができる(8月末に出荷モデル:DS-G350)。さらに記録映像については検索性にも優れていると言い、タイムデート検索、アラーム検索、インデックス検索というさまざまな側面から希望する映像を探し出す手間の軽減さが紹介された。

 日立では、機器提供だけでないトータルライフサポートが強み。コンサルから導入までのサービスを用意していることを、田中氏は映像・コミュニケーションソリューションを支える真価の1つだと言及した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ