新時代OSの幕開けを告げる虎──SpotlightとDashboardを斬る(1/2 ページ)

Appleが新Mac OSであるMac OS X 10.4、通称Tigerを発売開始して3カ月が経った。今回のレビューでは特に「Spotlight」「Dashboard」に注目し、Dashboardではウィジェットも作成してみよう。

» 2005年07月26日 13時45分 公開
[中津川篤司,ITmedia]

 Appleが新Mac OSであるMac OS X 10.4、通称Tigerを発売開始して3カ月が経った。今回のアップデートでは200以上の新機能が搭載されたと言うのが売り文句だ。ただ、この数字はOSコアに対する部分や、個々のアプリケーションに対する新機能等すべてを合算した数字なので、すべてが目に見えるというわけではない。今回のレビューでは特に「Spotlight」「Dashboard」に注目してみた。

整理しないで良いSpotlight

 筆者は普段、PC上のファイルをほとんど整理しない。特にメールなどは良い例だ。作業中のメール以外はすべて1000通ずつフォルダに分けているだけだ。この1000という数字にも別段こだわりはない。この状態であとは検索にすべてをゆだねている。Windowsの場合はGoogleデスクトップ検索+Beckyプラグインと言う組み合わせで対応しているが、この組み合わせを見いだすまではさまざまなツールを試したり、インストールの手間や設定など、試行錯誤が重なった。しかし、Macユーザーであればそんな心配は無用になりそうだ。スティーブ・ジョブズが「Windowsの次期OSより一年先取った」と言ったSpotlight機能がそれだ。各種検索エンジン業者が踏み込もうとしているデスクトップ検索にいち早く、しかもOSとの融合と言う面においてどれよりも優れた形で提供されている。

 Spotlightが対応している形式は数多い。メールやドキュメントのみならず、システム環境設定やミュージック、ムービーやフォントまで含まれる。各ファイルに含まれるメタデータをインデックス化する仕組みだ。実際利用してみた感想としては、使っている期間が長くなればなるほど便利になっていくように感じた。言わば人工知能的な、下世話に言えばスルメのような、使えば使うほど味が出る機能と言える。

 つまり、実際の作業ファイルが多くなり、煩雑化すればするほど便利だと言うことだ。情報をどんどん詰め込んで、縦断的に探すと言うのがSpotlight本来の使い方だろう。その意味では短い期間でのレビューでどこまで真価が図れたかは不安な部分もある。その中にあっておおっ、と思ったのは4つ。まずキーボードショートカット。Control+スペースキーで即座に検索可能だ。これは大した事がないと思われるかも知れないが、Windowsにおけるスタートメニューのように、使うことが望まれている機能は即座にアクセスできるのが良い。

 2番目はインクリメンタル検索。入力するたびに刻々と検索結果が変化していく。慣れるとこれは手放せない。毎度[Enter]キーを押して、その度に結果がありませんと表示されるのはがっかりさせられる。徐々に絞り込んでいく感覚で、記憶の糸も辿りながら検索できるのは便利だ。ただしmigemoのようにローマ字で日本語が検索できないのがちょっと残念ではあった(それを期待するのは酷かも知れないが)。将来的には誰かがプラグインなどで対応してくれると期待している。もちろんAppleが提供してくれれば一番なのだが。

 3番目はシステム環境設定に代表される、システムとの融合だ。システム環境設定で、右上にある検索欄に入力すると、ヘルプ項目のレベルで検索が実行される。つまり、何かをしたい時にそれを提供側の仕切りではなく、ユーザー側の仕切りで探せるのだ。具体的には、スクリーンセーバの設定をしたい場合、Windowsに慣れていると「ディスプレイ」の設定(Windowsでは「画面」)を開くかも知れない。だが実際には「デスクトップとスクリーンセーバ」にある(そのままなので例えが悪いが)。間違えたユーザーにとってはストレスだ。そこでSpotlight検索を使うと、『スクリーンセーバ』と入力すれば候補としてスクリーンセーバ関係の項目が、更にその候補を選択することで実行される設定が文字通り「スポットライト」に照らし出される。こう言った心憎い演出が「体験」と言う感覚をくすぐってくれる。

Spotlight システム環境設定のスポットライト

 4番目にはスマートフォルダを挙げたい。これは検索条件を仮想的なフォルダとして保存しておく機能と言える。例えば1つのファイルに対して複数の属性を持つ場合は多い。それがファイル管理の煩雑化をもたらす。スマートフォルダで検索条件だけ保存しておけば、その条件にヒットするファイルはいつでも簡単にリストアップ可能だ。もちろん、新しくその条件にヒットするファイルやメールができれば、それも自動で追加してくれる。

 Spotlightを仕事で利用しようと思う場合、重要なのがタグ付けの技術だ。つまり、文書やメールの中で、検索でヒットさせたいキーワードを明記しておくのだ。例えば会社名であったり、プロジェクト名だ。それらが出来ていれば、あるプロジェクトで利用されるファイル、やり取りされたメール、スケジュールなどがすべて1つのフォルダ(スマートフォルダ)で管理できてしまうのだ。

無限の可能性を秘めた小道具「Dashboard」

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