Microsoft、Exchangeに音声技術を統合へ

音声技術が2006年後半に登場する次期版Exchangeか、その次のバージョンのどちらに統合されるかは未定だ。(IDG)

» 2005年08月03日 12時25分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米Microsoftは、メッセージング統合戦略の一環として、Exchange Serverの将来版に音声技術を加えることを目指している。これはサードパーティーのISV(独立系ソフトベンダー)パートナーと競合する可能性がある。

 同社は8月2日、ニューヨークで開催のSpeechTEK Exposition and Educational Conferenceで、「Microsoft Speech Server」の技術をExchangeに統合する計画を発表した。

 音声技術をExchangeに加えれば、次世代の統合メッセージングを利用したたくさんのシナリオが可能になる。例えば、企業ユーザーが自動化されたシステムを使って読み上げられた電子メールを携帯電話で聞くなどの用途があると同社広報担当者は話す。

 この統合をどのように行うかはまだ詳しく決まっていないとこの担当者は語る。次世代版Exchange(コードネーム「Exchange 12」)は2006年後半に登場する見込みだが、そのリリースに音声技術か統合されるのか、あるいはその次のバージョンになるのかは未定だという。

 最も基本的なレベルでは、メッセージング統合は、電子メールとボイスメールが1つのメールボックスに格納され、どんなクライアント(携帯電話、ノートPC、PDAなど)からでも、いつでもアクセスできることを意味する。

 Exchangeは、Microsoftがメッセージング統合を提供するために選んだプラットフォームだとDirections on Microsoftの調査ディレクター、ロブ・ヘルム氏。だがメッセージング統合がもたらす問題の1つに、ユーザーが1カ所でアクセスできるメッセージが多くなりすぎて、適切なタイミングでアクセスできない恐れがあるということがある。重要度に応じてメッセージをフィルタリングすることが必要かもしれないと同氏は指摘する。

 「MicrosoftはExchangeを、すべてを収める巨大な空中の受信ボックスとして位置づけようとしている。しかし問題は、すべてのメッセージを読む人がいるのかということだ。自動化されたシステムが必要かもしれない」(同氏)

 ここで音声対応が役に立つかもしれないと同氏は言う。これまで、音声技術は音声対応の企業要覧や自動化されたカスタマーサービスシステムなど、ボキャブラリーの限られた特定の作業で最も機能していた。だが音声技術で電子メールシステムを拡張すれば、統合メッセージングの新たなシナリオを提供するかもしれない。

 「音声は作業が明確に定義されている状況で最も機能してきた。その真の価値は、自動化されたシステムに電子メールを読み上げさせて、それを適切な場所に送らせたり、ボイスメールを読み上げさせてその処理を決めさせたりすることにあるかもしれないと期待している」(ヘルム氏)

 Microsoftは既に、AdomoなどのISVパートナーのアドオン技術を通じてExchangeユーザーに統合メッセージングを提供することができる。Adomoは7月に新製品「Voice Messaging for Exchange」をリリースした。この製品はExchangeをメッセージの格納場所だけではなく、通信のバックボーンとして利用するとAdomoの販売担当副社長ハリー・ブルーナー氏。

 この製品はアプライアンス、Exchangeへのソフトコネクタ、自動化されたアテンダントで構成され、ユーザーがMicrosoft Outlookの電子メールのほか、予定表やアドレス帳にも電話からアクセスできるようにするという。

 ブルーナー氏は、Exchangeの新しい音声機能は当面リリースされないため、Adomoなどの企業にはExchange市場に製品を提供する時間がたっぷりあるので、Microsoftの計画の競争面については特に心配していないと語る。

 「Exchangeの将来版は2〜3年は登場しないかもしれない」(同氏)

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