コラム
» 2005年08月04日 15時44分 公開

Mozillaの「イノセンス」は終わる?

わたしには、Mozilla Foundationが営利企業を設立したことで、戻れない一線を越えつつあるように感じられて仕方がない。

[David Coursey,eWEEK]
eWEEK

 Mozilla Foundationが営利企業Mozilla Corporationを設立したことは、普通の非営利団体と同じくらい危険で政治的な、そして普通のソフト会社と同じくらい金を食う結果に終わるかもしれないという危険性がある。これは悪いことではない――Mozillaをこれまで支えてきた「フリー」ソフトの平等主義の概念から大きく逸脱することを除いては。この転換に、わたしはいささかの喪失感を味わっている。

 その一方で、ソフトはビジネスであり、慈善行為ではない。そして税法では非営利団体が営利組織と競争すること――つまりはそれがMozillaが真に目指していることだ――が非常に難しくなっている。

 ダニエル・グラズマン氏がブログで説明している会社設立の「理由」は、胸打たれるものではなかった。同氏はMozilla Foundationが受け取る売上の規模を、法的構造を変える理由の1つとして挙げた。非営利団体では人を雇うのが難しいことや、プラス面として営利組織は新たな収入源を作り出せることにも触れている。

 ビル・ゲイツ氏はわたしたちに、財団が非常に大きくなれるということを教えてくれている。Mozilla Foundationが、Gates Foundationの288億ドルの基金に及ぶ恐れはない。Mozilla再編の本当の理由は、売上の規模ではなく収入源だ。商用製品の販売など、非営利団体がしばしば避けなくてはならない収入源は幾つかある。税控除対象である寄付によって資金を稼いではいけない活動(特に政治活動)もある。

 こうした理由から、非営利団体が課税対象となる事業やロビー活動を行うために、傘下に営利組織を置くことはよくある。

 雇用については、非営利団体はかなりの志願者を引きつけられるようだ。こうした団体がどのくらい活動しているか(低い賃金、お粗末な経営、内部の力関係)を知っている人を除けばだが。それでも、成功している大規模な非営利団体は幾つかある。

 Mozillaに営利組織を加える最大の理由は、それなしでは大きな事業をすることがやがて難しくなるからだ。Mozillaがそうした大きな事業をやるべきかどうかはわたしには分からないのだが。

 多分に漏れず、わたしはたくさんの組織が必要ということは、Mozillaが寄付とボランティアの作業を主なリソースとしてフリーソフトを開発し、提供するという使命から外れているということではないかと懸念している。

 Mozilla Foundationがある程度のレベルの製品を構築して、それを営利目的の新会社に販売し、その会社がパブリックライセンスと無償配布モデルを維持する方がいいかもしれない。Mozillaはその売上を、子供たちが「家を出て」自律した時に、ほかのプロジェクトを進めるのに使うかもしれない。

 問題は、それは(かなりのサービス売上が見込める)OSではうまくいくかもしれないが、ブラウザと電子メールクライアントは投資家の関心を集めるだけの十分な収入源を生まないかもしれないということだ。これは持続している間はいいアイデアなのだが。

 営利企業を傘下に持っていても、非営利団体が営利企業と競争できるべきなのかどうかについて、わたしはわずかではあるが心配している。Mozilla Foundationの構造は、商用製品の開発の助成金を提供し、営利事業の必要性も説明する。「これはMicrosoftにとって公平なのか?」というのはあまり共感を得られそうな疑問ではないが、非営利セクターは利益を出し、税金を払っている組織と競争するために作られたのではない。Mozillaの成果はすべて利益を追求するべきだろうか?

 「ソフトはビジネス」と言ったように、Mozillaが営利企業と組むことはわたしには気にならないだろう。だが、Mozilla Foundationが戻れない一線を越え、人民による人民のためのソフトというちょっとしたロマンスを持って行きつつあると感じずにはいられない。

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