また、これまで外線だった六本木と熊谷間の通信をIP電話によって内線化した。それまで、六本木のセンターにかかった顧客からのコールを、熊谷のオペレータに振り分ける場合に通常の電話インフラを用いていたため、通話コストの負担が重くなっていた。
一方、導入を担当したソフトバンクテクノロジーの金善郁氏は、「お金を扱う証券会社のシステムという点で信頼性の確保に気を使いました」と話す。「これまでのPBXによるインフラと比較して性能が劣るわけにはいかない」ということで、IP電話、サーバ、ネットワークの設計、構築にも慎重になった。
特に気を使ったのはセキュリティ面の強化。「データ系」と「管理者系」といったデータの通信路についても、物理的な経路は同じでも、VLANを分けるなどの対策を図った。また、サーバの振る舞いに異常が発生したときに、それをすばやく検知する仕組みとして、Cisco Security Agentを全サーバに導入した。
イートレード証券の親会社にあたるSBIホールディングスの木村紀義氏は今後の拡張計画について、「一旦は収束したが、ビジネスは拡大しており、構想はいろいろある」と話す。
同社は「証券業界全体での圧倒的な存在感の確立」を目指しているという。そのために、システムの利便性の向上は不可欠と捉えている。現在も、膨大な注文量でサーバが落ちたときなどにも、ユーザーが証券の売買注文をできるようにバックアップサイトを提供するなど、ユニークな取り組みも行っている。こうした取り組みをさらに進め、個人の参入が進む株式市場での認知度をさらに上げていく考えだ。
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