ストレージ統合がVMwareテクノロジの威力を引き出すサーバの仮想化とネットワーク・ストレージの関係(2/2 ページ)

» 2005年09月01日 00時00分 公開
[ITmedia]
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 当然、VMware ESX Server環境でもソフトウェアイメージや環境設定データは、ストレージ内に格納される。これが、サーバにストレージが1対1の関係で接続されるDAS(Direct Attached Storage)の環境では、VMotionのターゲットとなるサーバとの間でデータが共有されず、サービスを稼働させたまま異なるサーバへOSとアプリケーションを移動することができない。逆に言えば、これはSANでストレージさえ統合されていれば、VMotionがシステムやメモリの状態を移すだけで、サービスを維持しながら物理的に異なるサーバへの移行できるということになる。

図1 VMwareを利用したサーバ統合の例。ストレージに関してもSANで統合すると管理が容易になる

 「VMware ESX Serverでサーバ統合を行っても、SANによるストレージの共有化はこれまでコストが壁となってできないケースが多かった」と同氏は言う。しかし、EMCジャパンでは100万円を切るネットワーク・ストレージ「CLARiX AX100」を開発・投入しており、SANによるストレージ統合の敷居をグッと下げた。サーバ統合に合わせてAX100を導入すれば、安価にSANを構築でき、VMware ESX Serverによるサーバ統合のメリットを最大限に引き出せる。ちなみに、AX100は2005年9月にVMware ESX Server対応している。

VMware ESX Server+CLARiXシリーズのさまざまな活用法

 また、EMC CLARiXシリーズは、VMware ESX Server上でストレージの各種機能を活用できるようになり、さらに柔軟な運用を可能にしている。例えば、VMware ESX Server上にマウントしているアプリケーション・データが格納されたLUN(Logical Unit Number)の複製を作成し、その複製を別のVMware ESX Server上のゲストOS環境にマウントして、開発・テスト・バックアップなどに活用できる。リモート複製機能を活用すれば、サーバ仮想技術を活用した柔軟な待機系システムを構築することも可能だ。(注:CLARiX AXシリーズは、スナップ機能のみに対応している)

 例えば、こんなシナリオが考えられるだろう。本番環境では、SANブートを利用し、OS今まで通り1台のサーバで1つのOS・アプリケーションを起動。一方、待機系やテスト環境には、VMware製品の仮想環境を用意する。ストレージ複製機能で作成したブートイメージとアプリケーションデータで、仮想環境を起動すれば、サーバ資源を有効に活用した待機系やテスト環境と構築することができる。

図2 仮想マシンを待機系やテスト環境に利用する

 また、CLARiX AX100やCX300が新たに搭載した「SAN Copy/E」機能を活用して、そのイメージを本番システムで使用しているミッドレンジストレージに対して、テスト・検証行ったLUNイメージを差分で配信するなどといった活用も考えられるだろう。

 そのほかにも、「VMware GSX Server」とiSCSI対応CLARiXを使用すれば、テスト環境としてデータ転送を必要としないテスト・開発環境を構築するなど、応用の仕方はさまざまに広がる。

図3 VMware GSX Serverを利用した開発テスト環境の例。

 VMware GSX Serverにネットワーク・ストレージのCLARiXシリーズという組み合わせは、仮想サーバのメリットを最大限に、しかもTCOを抑えたかたちで発揮させる。サーバ統合を考えているのであれば、これを機にCLARiXシリーズを使ったストレージ統合も視野に入れておきたい。

COLUMN
VMware+AX100で行うサーバ統合ソリューション
 VMwareのディストリビューターであるネットワールドでは、VMwareとAX100は高い互換性を確保できることから、AX100によるストレージ統合と組み合わせたサーバ統合ソリューションを提供している。
 サーバのCPU利用率が大きく向上し、ストレージ統合によりディスク使用率40%から90%へ向上するなど、年間保守量や運用費の改善が期待できるという。
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